アビー・ロード・スタジオ

アビー・ロード・スタジオ

アビー・ロード・スタジオ（Abbey Road Studios）は、ロンドンに位置する名高い録音施設で、イギリスのレコード会社EMIによって1931年に設立されました。このスタジオは、ビートルズを始めとする多くの著名なアーティストが録音を行ったことで知られています。

スタジオの歴史と背景

スタジオの建物は元々1831年にジョージ王朝風のタウンハウスとして建設されましたが、1931年にグラモフォン社によって購入され、録音スタジオへと改装されました。グラモフォン社は後にコロムビア・レコードと合併し、EMIが誕生。このスタジオは、1970年代に「アビー・ロード・スタジオ」と改名されるまで、「EMIレコーディング・スタジオ」と呼ばれていました。

オープンセレモニーは1931年11月12日に行われ、著名な作曲家サー・エドワード・エルガーが指揮するロンドン交響楽団による演奏が行われました。スタジオの初録音はエルガー指揮の『フォールスタッフ』であり、これがスタジオの歴史の始まりでした。

スタジオの構造

アビー・ロード・スタジオは3つのスタジオから構成されています。最も広い第一スタジオはオーケストラやオペラの録音に使用され、中間の第二スタジオは軽音楽に、狭い第三スタジオは少人数のアコースティック・ナンバーや効果音に適した設定となっています。

1958年以降、第二スタジオはクリフ・リチャードとシャドウズが「ムーヴ・イット」を録音したことでロック音楽の中心地となり、ビートルズもこのスタジオで数多くのヒット曲を制作しました。彼らはこのスタジオの館主のように親しむようになり、録音時間について微妙な競争を繰り広げました。

技術革新と名作の誕生

1968年には、ビートルズの『アビイ・ロード』やピンク・フロイドの『狂気』の録音に使われるミキシング・コンソールTG12345が導入され、新たな録音技術がこのスタジオで進化しました。1969年にはビートルズがアルバム『アビイ・ロード』をリリースし、そのジャケットがスタジオの近くにある横断歩道で撮影されたことから、スタジオはその名で広く知られるようになります。

スタジオでは様々なアーティストが録音を行い、クリフ・リチャードやピンク・フロイドなどがこの場所で数々の名作を生み出しました。ポール・マッカートニーも、ビートルズ脱退後にここで子供のように馴れ親しんだ第二スタジオを自宅に再現し、録音を続けていました。

スタジオの買収騒動

2010年には、EMIがスタジオを売却する懸念が報じられ、多くのファンや関係者からの反発が集まりました。ポール・マッカートニーやナショナル・トラストによる保存の意思も伝えられ、最終的にはEMIが売却計画を見直すこととなりました。

横断歩道の文化遺産指定

スタジオの前にある横断歩道は、文化的な重要性から2010年12月に英国政府によって文化遺産として指定されました。スタジオ自体だけでなく周辺の景観までもがその歴史的価値によって保護されることとなったのです。

映画音楽と名曲の録音

アビー・ロード・スタジオは映画音楽の録音も行っており、多くの著名な映画作品の音楽がここで制作されています。中でも『レイダース/失われたアーク《聖櫃》|レイダース_失われたアーク《聖櫃》』や『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』などが有名です。これらの作品はアビー・ロードスタジオの名声を一層高めています。

アビー・ロード・スタジオは今なお、音楽の歴史の中で特別な存在であり、数多くのアーティストの創作の場として重要な役割を果たし続けています。

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