アフォンソ4世 (ポルトガル王)

アフォンソ4世：勇敢王の生涯と時代

アフォンソ4世（1291年2月8日 - 1357年5月28日）は、ポルトガル王国の第7代国王（在位1325年 - 1357年）として、激動の時代を生き抜きました。父はディニス1世、母はアラゴン王女イザベルであり、彼はその治世において、軍事的な成功、経済の停滞、そして愛憎渦巻く人間ドラマを経験しました。

生涯

即位前

1291年に生まれたアフォンソは、幼少の頃から複雑な家庭環境に置かれていました。父ディニス1世は、庶長子であるドン・アフォンソ・サンシェスを寵愛し、アフォンソは彼に対し、激しい憎しみを抱いていました。1314年にサンシェスが王国執事長に任命されると、兄弟の対立は表面化し、ついには内乱へと発展します。母イサベルの仲裁によって一時的に和解するものの、1323年には再び反乱を起こしました。1325年1月7日にディニス1世が崩御すると、アフォンソはポルトガル王位を継承しました。

即位後

即位後、アフォンソはまず、宿敵サンシェスを国外追放します。しかし、サンシェスは報復のためにポルトガルに帰還し、再び内乱が勃発しました。この内乱も、イサベルの仲介によってようやく終結しました。1328年には、アフォンソの娘ドニャ・マリアとカスティーリャ王アルフォンソ11世の結婚が成立しますが、この結婚は不幸なものでした。アルフォンソ11世がマリアを冷遇したため、アフォンソはカスティーリャを攻撃しました。その後、イスラム勢力マリーン朝の侵攻という共通の脅威に直面したことで、ポルトガルとカスティーリャは和解し、同盟を結びました。1340年10月13日、サラードの戦いにおいて、両国連合軍はマリーン朝に勝利しました。

しかし、戦後もカスティーリャとの対立は再燃し、アフォンソはイングランドやアラゴンとの同盟を模索します。娘レオノールをアラゴン王ペドロ4世に嫁がせることで同盟関係を強化しようとしましたが、レオノールがペストで亡くなったため、この同盟は解消されました。

アフォンソ4世の治世において最も有名な出来事の一つは、息子のドン・ペドロとイネス・デ・カストロの悲恋です。ペドロは、妃コンスタンサの侍女であったイネスと深く愛し合うようになります。アフォンソと廷臣たちは、この関係に強く反対し、1355年1月、アフォンソはイネスを処刑することを決定します。イネスの処刑を知ったペドロは激怒し、反乱を起こしますが、最終的には母ベアトリスの説得によって鎮圧されました。1357年、アフォンソ4世は波乱に満ちた生涯を閉じました。

政策

アフォンソ4世は、司法制度の改革にも力を注ぎました。地方の自治体であるコンセーリョに派遣する判事を、外部から任命する制度を導入し、法廷には上訴権を設置しました。また、民事裁判と刑事裁判を区分し、民事裁判は宮廷の高官が担当するようになりました。さらに、リスボンに駐在するイタリア商人の進言を受け、カナリア諸島探検の資金を援助しました。

家族

1309年、アフォンソはカスティーリャ王サンチョ4世の娘ベアトリスと結婚しました。夫妻の間には、4男3女が生まれました。娘のマリーアはカスティーリャ王アルフォンソ11世の妃となり、息子のペドロ1世はアフォンソ4世の後を継いでポルトガル王となりました。

アフォンソ4世の治世は、ポルトガル史における重要な転換期でした。彼の軍事的な成功は、ポルトガルの領土を拡大し、その地位を高めました。しかし、経済の停滞やペストの流行、そしてイネス・デ・カストロの処刑は、彼の治世に暗い影を落としました。それでもなお、アフォンソ4世は「勇敢王」として、ポルトガル国民に記憶されています。

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