アフマド・アル＝ジャービル空軍基地

アフマド・アル＝ジャービル空軍基地：クウェートの戦略拠点

アフマド・アル＝ジャービル空軍基地は、クウェート国のアハマディ県に位置する、クウェート空軍の主要な軍事基地です。イラクとの国境に比較的近接しているという地理的特性から、湾岸戦争以降、国際的な軍事活動において重要な役割を担ってきました。

湾岸戦争における激戦

1990年のイラクによるクウェート侵攻において、この基地はイラク軍の攻撃を受け、滑走路は使用不能となりました。クウェート空軍の戦闘機は、基地周辺の道路に緊急着陸せざるを得ない状況に陥りました。イラク軍は基地を占領し、軍事拠点として利用、化学兵器の配備も懸念されました。このため、1991年の湾岸戦争では、多国籍軍による空爆の主要な標的となり、アメリカ海軍、アメリカ空軍、フランス空軍などによる激しい攻撃を受けました。開戦初日には、アメリカ海軍のA-6攻撃機やフランス空軍のジャギュア攻撃機が基地を空爆、大きな被害を受けました。

湾岸戦争後の展開拠点

湾岸戦争後、アメリカ空軍は、この基地を戦略拠点として利用するようになりました。イラク国境への近接性から、アメリカ空軍州兵や予備役軍団のA-10攻撃機、F-16戦闘機などが、ローテーションで展開するようになりました。さらに、イタリア空軍、デンマーク空軍なども、この基地に航空機を展開させ、国際的な軍事協力の一端を担っています。

ISIL対策における役割

2016年からは、アメリカ空軍第332航空遠征航空団が基地に展開し、ISILに対する国際軍事介入作戦を支援しています。アメリカ空軍のみならず、アメリカ海兵隊の航空機も展開されており、この基地は現在も重要な軍事作戦拠点として機能しています。

配備部隊

アフマド・アル＝ジャービル空軍基地には、クウェート空軍とアメリカ空軍の部隊が展開しています。

クウェート空軍は、F-18C/D戦闘攻撃機を運用する複数の飛行隊を配備しています。具体的には、第9戦闘攻撃飛行隊、第25戦闘攻撃飛行隊、そして訓練任務にあたる第61戦闘攻撃飛行隊などがあり、基地における航空戦力の集中運用が行われています。

アメリカ空軍は、航空戦闘軍団隷下の第9空軍、第332航空遠征航空団などがこの基地に展開し、様々な任務にあたっています。

まとめ

アフマド・アル＝ジャービル空軍基地は、クウェート空軍の主要基地であると同時に、湾岸戦争以降、アメリカ軍を中心とした多国籍軍の重要な作戦拠点となっています。地理的条件と国際的な軍事協力の観点から、今後とも地域安全保障に重要な役割を果たし続けることが期待されます。その歴史と現状を理解することは、中東地域の政治・軍事情勢を把握する上で極めて重要です。

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