アブドゥル＝ハリーム・サドゥラエフ

アブドゥル＝ハリーム・サドゥラエフの生涯

アブドゥル＝ハリーム・アブサラモヴィチ・サドゥラエフ（1966年6月2日 - 2006年6月17日）は、チェチェン・イチケリア共和国の第4代大統領及び重要な独立派指導者でした。彼はアルグン市に生まれ育ち、ウストラドイ部族に属していました。地元の教育機関で教育を受け、イスラム神学者の下で学び、地域のイスラム復興運動に積極的に関与していました。

彼の生涯の中で、一度だけメッカ巡礼を行ったものの、他にはチェチェンを離れたことがありませんでした。アブドゥル＝ハリームは、地域の若者にイスラムの教えを教えながら、教育者としても活動し、チェチェン大学の哲学部へ通ったものの、戦争のために卒業を果たすことができませんでした。彼はチェチェン語、アラビア語、ロシア語の3言語を自由に操れる才能を持っていました。

アブドゥル＝ハリームは、1990年代の第一次チェチェン紛争に参加し、その後もチェチェンの公共放送を通してイスラムを広める活動を続けました。彼はアルグン市のイスラム・ジャマートを率い、多くの地域で講義を行い、また一時期はアルグン・モスクのイマムとしても奉仕しました。1999年には、アスラン・マスハドフ前大統領の指示により、憲法シャリーア改革国家委員会に参加しました。

第二次チェチェン紛争が勃発すると、彼はアルグン民兵部隊を指揮し、チェチェン・イチケリア共和国軍への参加を果たしました。2002年には国家防衛会議で重要な役職に任命され、国家防衛委員会のシャリーア委員会議長及び最高シャリーア裁判所所長を務めました。彼はその活動を通して、従来のチェチェンの伝統とイスラムの教えを融合させる試みを行いました。

また、アブドゥル＝ハリームは数々の勲章も授与され、チュダエフ大統領から最高勲章を受け取るなど、その名声は高まりました。2003年には、ロシア連邦軍によって彼の妻が略取される事件が発生し、その後彼女が殺害されるという衝撃的な出来事もありました。

2004年には、彼とアスラン・マスハドフの共同インターネットビデオが公開され、彼の政治的立場を明確にしました。しかし、ロシア検察庁は彼を危険視し、国外にいる医師の暗殺に関与していると非難しました。2005年には、アスラン・マスハドフが殺害された直後、彼は新たに大統領として選ばれることになり、5月にはカフカーズ戦線の創設を指示しました。

しかし、彼の政治生命は長くは続きませんでした。2006年6月17日、アブドゥル＝ハリームはロシア連邦保安庁とチェチェン国内務省の共同作戦により殺害され、同日、彼の後任として副大統領のドク・ウマロフが指名されるという出来事がありました。彼の死は、チェチェン独立派にとって大きな痛手であり、地域の動向に影響を与え続けています。

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