チェチェン・イチケリア共和国

チェチェン・イチケリア共和国

チェチェン・イチケリア共和国は、チェチェン語で「Nóxçiyn Respublik Içkeri」、ロシア語では「Чеченская Республика Ичкерия」と呼ばれ、英語では「Chechen Republic of Ichkeria」と訳される地域です。これは、分離独立を志向する武装勢力によって設立された、国際的には未承認の国家となります。ロシアに対する武力による抵抗を行い、ウクライナ情勢にも関与しているのが特徴です。国名の「イチケリア」は「山岳」「高地」を意味し、意訳すれば「チェチェン山岳共和国」となります。

概要

この共和国は、ロシア連邦の一部を自称する形で形成されており、北西はスタヴロポリ地方、北東から東にかけてダゲスタン共和国、南にはジョージア、西にはイングーシ共和国や北オセチア共和国と接しています。この地域はカフカース山脈の北部に位置しています。この共和国の成立は1991年に遡り、初代大統領ジョハル・ドゥダエフのソ連からの独立宣言によって公式に開始されました。その後、独立国名は「チェチェン共和国」から1994年に「チェチェン・イチケリア共和国」へと変更されました。

第一次チェチェン紛争は1994年に発生し、ロシアが共和国の独立を阻止しようとしたことが引き金となりました。1996年に一時的に独立状態を維持するものの、1999年にはロシアが再度侵攻を試み、2000年には首都であるジョハルを喪失しました。これにより、チェチェンは実質的にロシア連邦支配下に置かれることとなり、以降の指導者たちがロシア当局によって殺害された経緯があります。

2007年、前大統領のドク・ウマロフはカフカース地域にイスラム国家を樹立する野望を抱き、これが分裂を招く結果となりました。結果的にカフカース首長国の設立が進みましたが、2016年には消滅しました。これに対抗する形で、穏健派のアフメド・ザカエフが活動を続け、英国で政治亡命を行いつつ独立に向けた運動を展開しています。ロシアはザカエフを国際的に手配し、引渡しを求めています。

2022年10月、ウクライナ最高議会はチェチェン・イチケリア共和国を「ロシアの一時占領下にある」として独立を正式に承認しました。

外交関係

独立宣言以来、多くの国がチェチェンの独立を承認していなかったが、2000年に入るとアフガニスタンのタリバン政権が初めてこれを認めました。その後、彼らは成り行き上、国外で最初の大使館を設置しましたが、タリバンが崩壊するとその大使館も閉鎖せざるを得なくなりました。ジョージアの初代大統領も独立を認めたものの、彼の国の政府としては公式には認めることはありませんでした。

2022年、ウクライナでもチェチェンの独立を認める法案が提出され、10月18日に正式に承認されました。

軍事

チェチェン・イチケリア共和国は、陸軍、空軍、国家警備隊からなる正規軍を保持しており、それに加えて複数の民兵組織も存在しています。独立時には、ソ連の空軍の装備を受け継いだため、第一次チェチェン戦争前には戦闘機や輸送機を多く保有していました。しかし第二次チェチェン戦争以降、残存勢力としてロシア軍や親露派に対してゲリラ戦を続けていました。

まとめ

チェチェン・イチケリア共和国の歴史は、独立と制圧の繰り返しで形成されており、その存在は歴史的、政治的に複雑な背景を持っています。国際的承認は少ないものの、地域の情勢や戦争の影響を受けつつも、独立への動きは今も続いています。

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