アブドーラ・ザ・ブッチャー

アブドーラ・ザ・ブッチャー

アブドーラ・ザ・ブッチャー（本名：ラリー・シュリーヴ）は1941年にカナダのウィンザーで誕生したプロレスラーです。彼はリング上での悪役として知られ、日本では「黒い呪術師」というニックネームでも親しまれました。ブッチャーは、独特のキャラクターと流血を伴う過激なファイトスタイルで、多くのファンから愛されたレスラーの一人です。

来歴

彼は、ネイティブ・アメリカンの父親とアフリカ系アメリカ人の母親のもとで育ちました。幼少期から貧しい環境でしたが、家庭は楽しく過ごし、早くからビジネスのセンスを磨くようになります。中学時代に柔道や空手を習い始め、スポーツに熱中するようになりました。その後、1961年にモントリオールでプロレスデビューを果たし、様々なリングネームを経て「アブドーラ・ザ・ブッチャー」という名前に定着しました。

1960年代はカナダ全国で活動し、特にバンクーバーではNWA世界タッグ王座を戴冠するなど華々しい成功を収めました。1970年代に入ると、アメリカなど南半球での遠征を行い、日本のプロレス界にも進出します。1970年には日本プロレスに初来日し、その後数々の試合で圧倒的な存在感を示しました。

ブッチャーは、特にジャイアント馬場との抗争が印象的です。彼との長年にわたる試合は両者のキャリアに多大な影響を与えました。全日本プロレスでは、数々のヘビー級王座を獲得し、1976年や1979年にはチャンピオン・カーニバルで優勝を果たしました。彼の試合は常に大流血の名勝負として語り継がれています。

日本での活躍

1970年代から1980年代にかけて、日本を主戦場とし、全日本プロレスだけではなく新日本プロレスにも参戦しました。特に新日本では、アントニオ猪木との抗争や、他の多くの名レスラーとの激闘が展開されました。彼の圧倒的な存在感と悪役レスラーとしてのカリスマ性は、日本のプロレス界において特筆すべきものでした。

1987年には全日本プロレスに復帰し、再びファンの間での人気を取り戻します。90年代には、様々なインディー団体での参戦を通じて、なおもその名は多くの支持を得ていました。最後の引退試合は2019年に行われ、日本のファンにとって彼の存在は特別なものでした。

その他の活動

ブッチャーは、リング外でも多くのメディアに出演しており、漫画や映画、CMにも取り上げられました。特に河口仁による漫画『愛しのボッチャー』は、彼の人気を一層高めました。プロレス以外でも幅広い活動を通じて、日本の文化においても彼の影響は残り続けています。

人物像

彼のファイトスタイルやキャラクターは多くの後輩レスラーに影響を与え、また、日本のファンとの関係も深かったことで知られています。ブッチャーにとって日本は特別な場所であり、彼自身も親日家として知られていました。彼の存在は、単なるアスリートにとどまらず、文化的なアイコンともいえるでしょう。

ブッチャーは、リンタイムを通して数々の名場面を残しており、プロレス界における彼の影響力は、現在もなお語り継がれています。彼の功績が評価され、2011年にはWWE殿堂に迎え入れられました。彼の生涯とキャリアは、今後も多くのファンに愛され続けることでしょう。

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