アブハジア沖海戦

アブハジア沖海戦

2008年8月9日から10日にかけて、南オセチア紛争の最中、黒海のアブハジア沖でロシア海軍黒海艦隊とグルジア海軍の間で激しい海戦が繰り広げられました。この海戦は、ロシア海軍が第二次世界大戦後に行った最大規模の水上戦闘として記録されています。

戦闘の背景

2008年8月7日、南オセチア紛争が勃発。ロシアは、グルジア軍の侵攻を受けていた南オセチアとアブハジアの支援のため、黒海艦隊をアブハジア沖に展開しました。8月9日、ロシア海軍は揚陸艦2隻を含む6隻の艦艇からなるタスクフォースを編成し、アブハジアの首都スフミへの兵員輸送を開始しました。この輸送作戦中に、ロシア艦隊はグルジア海軍の艦艇5隻と遭遇し、戦闘が開始されました。

戦闘の経過

8月9日早朝、ロシア海軍の揚陸艦「ツェザーリ・クニコフ」と「サラトフ」は、ミサイルコルベット「ミラーシュ」や対潜コルベット「スーズダレッツ」などの護衛を受け、ノヴォロシースク海軍基地からスフミに向けて出発しました。同日夕方、スフミ沖でグルジア海軍のミサイルコルベット「ディオスクリア」、「トビリシ」と哨戒艇3隻が接近。ロシア艦隊は警告を発しましたが、グルジア艦隊は接近を続けました。これに対し、「ミラーシュ」はP-120対艦ミサイルを発射し、グルジア海軍の哨戒艇「ゲオルギー・トレリ」を撃沈しました。グルジア艦隊も反撃を試みましたが命中せず、ロシア側はミサイル巡洋艦による迎撃も行いました。その後、「ミラーシュ」は別の哨戒艇に攻撃を加え損傷させ、グルジア艦隊は撤退しました。

翌10日、輸送任務を終えたロシア艦隊は、対潜コルベット「カシモフ」を加えて帰還中、再度グルジア海軍の攻撃を受けました。しかし、ロシア艦隊は各艦が装備する対空ミサイルでこれを迎撃し、損害を被ることなく撤退しました。

グルジア海軍の壊滅

ロシア海軍に損害を与えることができなかったグルジア海軍は、母港のポティ港に帰還しました。しかし、ロシア軍はグルジア海軍の無力化を決定し、8月12日には特殊部隊を搭載した揚陸艦と護衛の対潜コルベットがポティ港に侵攻。抵抗を受けることなく、港に停泊していたミサイルコルベット「ディオスクリア」や「トビリシ」を含むグルジア海軍のほぼ全ての艦艇を爆破、撃沈しました。この結果、グルジア海軍は戦闘艦のほとんどを失い、壊滅しました。

このアブハジア沖海戦は、南オセチア紛争における重要な出来事の一つであり、その後のグルジア海軍の衰退を決定づけることとなりました。


参考文献:

* “南オセチア紛争(2008年8月) - ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課” (2009年12月4日). 2012年3月4日閲覧。

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