アブロ 504

アブロ 504（Avro 504）

アブロ 504は、第一次世界大戦においてイギリス海軍航空隊や空軍で使用されたアブロ製の単発複座複葉機です。初飛行は1913年7月で、民間機として始まったアブロ 500を基に開発されました。初飛行からわずか数ヶ月後の同年11月には制式に採用され、イギリス陸軍航空隊と海軍航空隊がこの機体を迎え入れました。

軍歴

戦争の勃発に伴い、アブロ 504はフランスに派遣され、特に海軍航空隊所属の機体はその戦果を挙げます。例えば、1914年11月21日には3機がツェッペリン飛行船基地への攻撃を実施し、水素ガス工場を爆破する成功を収めました。しかし、前線での使用においては、すぐに技術の進歩により旧式化してしまいました。

それでも、509機のJ型とK型が練習機として生産され、特にK型はエンジンのオプションが増え、1918年までに約8000機が製造されました。1917年には、旧式化したB.E.2cに代わって、パイロット訓練用途としてJ型とK型が本土防空部隊に配備されました。これらの機体は、プロペラ圏外の上翼にルイス機関銃を装備し、エンジンも強化された改良型が登場しました。

終戦後も、この機体は練習機として使用され続け、約300機は民間用に転用されました。1930年代まで、アブロ 504の姿を見かけることができました。1925年にはエンジンを換装したアブロ 504Nが592機製造され、イギリス空軍で採用されることとなりました。この機体は国際的にも人気があり、ベルギーやブラジル、南アフリカなど多くの国に輸出されました。

日本での運用

日本でもアブロ 504の評価は高く、1920年に日本海軍はアブロ社と購入契約を結びました。翌年には、イギリスから陸上型（504K）68機と水上型（504L）10機が輸入され、教育技術者がアブロ社に派遣されました。これにより日本国内でも操縦教育が行われました。

1922年には国産化が開始され、特に陸上型は中島、そして水上型は愛知によって製造され、最終的には222機がライセンス生産されました。アブロ式練習機としての評価も高く、昭和初期まで海軍の主力練習機として活躍しました。しかし、徐々に三式陸上初歩練習機などの新型機に置き換えられ、退役が進みました。その後は多くの機体が民間に払い下げられ、航空学校で再利用されました。

性能諸元

アブロ 504Sの基本的な性能は次の通りです：

• - 全長: 6.30 m
• - 翼幅: 10.97 m
• - 全高: 3.17 m
• - 翼面積: 30.00 m²
• - 全備重量: 1,500 kg
• - 発動機: ル・ローン 空冷星型9気筒（回転式）
• - 出力（離昇時）: 120 HP
• - 最高速度: 144 km/h
• - 上昇率: 1,000 mまで5分
• - 実用上昇限度: 5,000 m
• - 航続距離: 3時間
• - 乗員: 2名

これらの特徴が、アブロ 504を長きにわたって愛される機体にしている要因であり、訓練機としての役割を見事に果たしました。

もう一度検索