アブー・ダーウード・シジスターニー

アブー・ダーウード・シジスターニーについて

アブー・ダーウード・シジスターニー（817年 - 889年）は、9世紀に活躍したハディースの専門家であり、彼の名を冠した『スナン・アビー・ダーウード』は、イスラーム教スンナ派において重要な位置を占める著作です。この書に収録されたハディースは、ブハーリーやムスリムの著作と並び称され、スンナ派の「六大伝承集」の一つとして広く認知されています。

生涯

アブー・ダーウードの本名は、アブー・ダーウード・スライマーン・ブヌル・アシュアス・アズディー・シジスターニーです。彼はヒジュラ暦202年（西暦817年または818年）、スィジスターン（現代のシスタン/バルチスラン）の裕福な家庭に生まれました。彼の学問への情熱は早くから現れ、西暦835年にはアッバース朝の都であるバグダードに移り住みました。その後、約15年間にわたりイラク、エジプト、ヒジャーズ、シリアを旅行し、預言者ムハンマドの言行録を集めることに専念しました。

彼はその旅の中で約50万のハディースを集め、その中から選りすぐりの4,800のハディースを自著『スナン・アビー・ダーウード』にまとめました。彼のこれは、イスラームの教えを正しく理解するための基盤を築くものとなりました。アブー・ダーウードは889年、生涯を終えるまでバスラで活動を続けました。

教えと思想

アブー・ダーウードは、主にハンバリー法学派の教えを重んじていたとされますが、彼がシャーフィイー法学派を支持していたという見解も存在します。彼の研究の焦点は法（フィクフ）にあり、そのため収集したハディースの多くが法的な側面を扱っています。特に、彼は知的な人々が彼の著作に述べられた特定の4つのハディースだけで信仰を十分に理解できると主張したことが知られています。これらの教えは以下の通りです：

1. 行為は意志に基づくものである。
2. 無関係な問題を放置することは、優れたムスリムであることの一部である。
3. 自己を愛するように他者を愛することが、信者とされる条件である。
4. 許可されたこと（ハラール）と禁じられたこと（ハラーム）は明確であり、その間には疑わしい事柄が存在する。疑わしい事柄を避けることで信仰を守ることができる。

主要な著作

アブー・ダーウードは21冊以上の著作を著しましたが、最も有名なのは『スナン・アビー・ダーウード』です。この著作には、4,800以上のハディースが収録されています。21世紀の現在では、ムヒッディーン・アブドゥルハミードによる校訂版が広く使用されています。この校訂版では、異なるものとされる5,274のハディースが整理されています。アブー・ダーウードは、特に脆弱とされるハディースには注記を施す方針を取り、付記のないものはすべて真正であると記していますが、こうした見解には異論もあります。

彼の他の著作には『Kitab al-Marāsīl』があり、ここでは600のムルサル（mursal）ハディースが収載されています。また、『Risālat Abu Dāwūd ilā Ahli Makkah』では、彼の主著に関する解説が含まれ、マッカの人々に向けた手紙として重要な資料とされています。アブー・ダーウードの業績は、イスラームの教えを伝える上で今も重要な根拠となっています。

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