アプト式

アプト式ラック鉄道システムについて

アプト式（Abt system）は、ラック式鉄道の一つであり、特に登山[[鉄道]]や亜幹線鉄道で用いられています。この方式は、1893年にドイツの技術者カール・ローマン・アプトによって特許が取得され、その名は開発者の名前に由来しています。アプト式は、2枚または3枚のラックレールを用意し、これらの歯形がずれて配置されることに特徴があります。この設計により、駆動力が円滑に伝達されるだけでなく、ラックレールとピニオンギアの噛み合いにより安全性の向上も期待できます。

アプト式の特徴

このシステムでは、ラックレールとピニオンギアのかみ合わせが常に一定であり、そのため1列の歯だけを持つ方式よりも長寿命化が図れます。また、リッゲンバッハ式など従来のはしご状ラックレールに比べて低コストでの施工が可能です。アプト式が最も多く利用されている理由は、特にスイスを中心としたヨーロッパの鉄道で広く導入されていることにあります。

日本での採用

日本においては、アプト式ラック鉄道が営業用に利用されており、特に信越本線の碓氷峠と大井川鉄道井川線がその例です。信越本線では、かつて横川駅と軽井沢駅間で運行されていました。今では運行が終了していますが、横川駅近くには「碓氷峠鉄道文化むら」が開設され、アプト式に関連する鉄道資料の展示が行われています。

大井川鉄道の井川線でもアプト式が採用されており、ここでは「アプトいちしろ駅」と「長島ダム駅」間がその区間になります。これらのラインでは、ピニオンギアの配置やラックレールの高さに微妙な違いがあり、運行車両にも影響を与えています。碓氷峠では一部の車両がその構造上の制約から通過できない場合がありますが、大井川鉄道では通過車両の制約はありません。

アプト式に使用される鉄道車両

日本では、アプト式ラック鉄道の運行に関わる車両も多岐にわたります。国有鉄道では、蒸気機関車の3900形、3920形、3950形、3980形、また電気機関車のEC40形、ED40形、ED41形、ED42形などが運用されていました。さらに、大井川鉄道においては、ED90形の電気機関車がアプト式での運行に使用されています。

まとめ

アプト式は、特に山岳地域での鉄道運行において大きな役割を果たしている方式です。日本でも多くの事例があり、アプト式の特性や利用状況を知ることは、鉄道ファンや技術者にとって極めて興味深いテーマとなっています。今後もアプト式の技術進化が期待され、他の鉄道方式との比較がされ続けることが予想されます。

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