アプリリア・RSV mille

アプリリア RSV mille：イタリアンスーパースポーツの系譜

アプリリアRSV milleは、1998年から2003年にかけて製造された、998ccの4ストロークVツインエンジンを搭載するスーパースポーツバイクです。ドゥカティがVツインエンジン搭載スポーツモデルを独占していた時代に登場し、独自の技術と魅力で多くのライダーを魅了しました。

60°Vツインエンジンの採用と独自のハンドリング

RSV mille最大の特徴は、他社が主流だった90°Vツインエンジンではなく、ロータックス製の60°Vツインエンジンを採用している点です。このエンジンは、クランク前方と後方に2軸バランサーを備えることで、優れたバランスを実現。Vツインとしては異例の高い前輪荷重と長いスイングアーム長を可能にし、現代的なハンドリングを実現しました。

しかし、60°Vツインエンジンの高さは重心高に影響を与え、コーナリング特性に独特の癖をもたらしました。旋回性能は高く評価されましたが、ライダーはエンジンの特性を理解し、それに合わせたライディングテクニックを習得する必要がありました。

マイナーチェンジとモデルバリエーション

RSV milleは、発売期間中にエンジン搭載位置やチューニングなど、細かなマイナーチェンジが繰り返されました。そのため、1998年から2000年までの初期型を「ME型」、2001年から2003年までの後期型を「RP型」と呼ぶ区別が一般的に用いられています。「RP型」はさらに、シートカウルの形状の違いから1型と2型に分類されます。

最終モデルである2003年型は熟成の粋を集めたモデルとして高い評価を受け、後継モデルであるTUONO 1000シリーズのベースにもなりました。

3つのモデル：スタンダード、SP、R

RSV milleシリーズには、大きく分けて3つのモデルが存在します。

スタンダードモデル: ベースモデルとして、高い走行性能とスタイリッシュなデザインを両立したモデルです。

RSV mille SP: スーパーバイク世界選手権参戦を視野に開発された、高性能モデルです。コスワースによるエンジンチューニングにより、最高出力は150psにまで向上。エンジン搭載位置やボアストロークの変更、シングルプラグ化など、様々な改良が施されています。

* RSV mille R: スタンダードモデルとSPモデルの中間に位置するモデルです。オーリンズ製サスペンションやカーボンパーツ、そしてOZレーシングのアルミ鍛造ホイールを装備するなど、豪華な仕様となっています。特にOZレーシングホイールのデザインは高く評価され、後のRSV1000R Factoryや他モデルにも採用されることになりました。

まとめ：イタリアンスーパースポーツの進化

RSV milleは、アプリリアの技術力を象徴するモデルです。60°Vツインエンジンという独自の技術、そしてそれを活かした高度なハンドリングは、多くのライダーに強い印象を与えました。様々なバリエーションモデルや、後継モデルへの影響からも、その存在感は現代においても色褪せることはありません。その独特のキャラクターと高いポテンシャルは、多くのバイクファンを魅了し続けています。

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