アベラム族

アベラム族

アベラム族は、パプアニューギニア北部のセピック川流域に位置する、約35km四方の低丘陵地帯や平地に小規模な集落を形成して暮らす少数民族です。居住地の南西部は比較的高い人口密度を示し、北部はより起伏に富んだ地形です。植民地支配を受ける以前、彼らは政治的に独立性の高い存在でした。アベラム族は、その独特な彫刻細工や絵画で知られています。

生活と社会

アベラム族の生活は、主にヤムイモを中心とした根菜類の栽培とブタの飼育によって営まれています。ヤムイモは彼らの主食であり、その栽培には高度な知識と技術が活かされています。100種類を超えるヤムイモを見分け、土地の性質に最適な品種を選び出し、巧妙な改良と栽培を行います。例えば、川沿いの肥沃な平地も、大水や高い地下水位といった不利な条件がありますが、アベラム族は水に強い巨大な塊茎を持つ品種を生み出すことでこれを克服しました。

村の運営や行事は、村人全体の集会での決定に基づきますが、多くの場合、雄弁な男性の発言が強い影響力を持ちます。村の重要な行事は、「ビッグマン」と呼ばれる指導的な男性たちが取り仕切ります。

信仰と儀礼

アベラム族の信仰体系は、ヤムイモ、特にその収穫と深く結びついており、大規模な儀礼生活が特徴です。

ヤムイモ儀礼（ワピ栽培）

特に北部に暮らすアベラム族の男性は、「ワピ」と呼ばれる、男根崇拝と関連付けられる細長いヤムイモの栽培に熱中します。ワピは平均1.8メートル、時には3.6メートル近くにも達します。これを立派に育てるには、厳格なタブーと儀礼が欠かせません。栽培者は約半年間、性的な交渉と肉食を禁じられます。栽培畑には選ばれた男性以外は入れず、ヤムイモを育てるための呪術が繰り返し行われます。聖物として、先祖の頭蓋骨や石、彫刻などが用いられます。

収穫されたワピの中で最も立派なものは、仮面や装飾で飾られ、精霊が宿るかのように仕上げられます。これらは、村や個人の威信を示す盛大な収穫祭で陳列されます。

儀礼に用いたヤムイモは、自分で食べたり使ったりせず、他者に与える決まりです。男性は二人一組で互いにヤムイモを交換し、その長さを記録します。この競争は非常に激しく、敗北は社会的な恥と見なされます。この競争が栽培技術の向上と継承を促す役割を果たしています。

ヤムイモは、他者を非難する意思表示にも用いられます。例えば、妻の不貞を疑う夫が相手と見なした男性にヤムイモを渡し、その不品行を罵倒するといった例があります。

女性の初潮の儀式

女性にとって重要な儀礼として、初潮を迎えた少女の通過儀礼があります。腹部、胸部、上腕に瘢痕がつけられ、母親の兄や弟に支えられた少女の肌に、女性たちが文様を刻みます。その後、女性たちは男性専用の儀式場を占拠し、男を入れずに儀礼を行います。

翌朝、少女は頭髪を剃り、全身を飾り立てて姿を見せます。その後数ヶ月間は労働せず、村や近隣を訪れて手厚い歓待を受けます。

男子の成人儀礼

男子の成人儀礼は、主に思春期を迎え、ペニスの切開手術や関連する祭祀に加入する少年が対象ですが、頻繁でないため手術未経験者も参加します。踊りの後に対象者が選ばれ、彼らは村を離れた森で約2ヶ月隔離されます。選ばれなかった少年は食事係を務めます。隔離された少年は、ヤムイモ原料の「白いスープ」を飲み、意図的に体重を増やすよう努めます。狩りの獲物やタロイモなども与えられます。期間終了後、少年たちは帰村し、着飾り、踊りで儀礼を終えます。

近年、儀礼の厳しさは緩和されつつあります。キリスト教の影響があるワセラ地区では、夜間の帰村が認められたり、かつて行われたイラクサによる鞭打ちが見られなくなったりしています。

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