アベル・オーベール・デュプティ＝トゥアール

アベル・オーベール・デュプティ＝トゥアール

アベル・オーベール・デュプティ＝トゥアール（1793年8月3日 - 1864年3月16日）は、フランスの海軍士官として知られ、特にフランス領ポリネシアの植民地化に重要な役割を果たしました。本稿では、彼の生涯や業績を詳述します。

生い立ち

デュプティ＝トゥアールは、フランスのメーヌ＝エ＝ロワール県、テュルカンで裕福な家庭に生まれました。彼の家系には、フランス革命戦争で戦死した英雄的な叔父、アリスティード・デュプティ＝トゥアールがいます。彼は1804年にわずか11歳でフランス海軍に入隊し、その後北海や地中海で様々な任務に従事しました。

軍人としての活動

1823年に艦長に昇進したデュプティ＝トゥアールは、1830年から始まったアルジェリア侵攻にブリッグ船「Griffon」で参加しました。この経験を通じて彼の軍歴は一層強化されました。

太平洋探検

1836年、デュプティ＝トゥアールはフリゲート船「Venus」の艦長として任命され、太平洋におけるフランスの権益確保の任務に出航しました。1836年12月、ブレスト港を出発し、ホーン岬やチリのバルパライソ、ペルーのカヤオを経て、翌年6月にハワイに到着しました。

この間、彼はカムチャツカ半島やアリューシャン列島にも航海し、海図を作成しました。その後、カリフォルニア、モントレーを訪れ、さらには中央アメリカや南アメリカの沿岸を航海し、イースター島にたどり着きました。探検の終わりには、マルキーズ諸島へも足を運び、タヒチのカトリック宣教師を運搬し、地形や水路の調査を行いました。

この探検航海の成果は、1840年から1864年にかけて物理学、動物学、植物学など多方面でまとめられ、報告されました。

タヒチでの活動

タヒチを再訪したデュプティ＝トゥアールは、国内の対立に干渉し、フランスの植民地化を進めました。1842年にはフランス太平洋艦隊の司令官として、タヒチ島の女王ポマレ4世とともに、タヒチをフランスの保護領とする条約を締結。この結果、タヒチは徐々にフランスの植民地に組み込まれていきました。

政治家としての晩年

その後フランスに戻ったデュプティ＝トゥアールは、1848年に副大臣に就任し、1858年には退役。その後は国会議員としても活動しました。家族については、子供を持たなかったものの、妹の息子であるアベル・ベルガス・デュプティ＝トゥアールを養子として迎え入れました。この養子も海軍士官となり、幕末の日本において堺事件に関与することで名を馳せました。

まとめ

アベル・オーベール・デュプティ＝トゥアールは、フランス海軍において重要な役割を果たした人物であり、その業績は後の歴史に大きな影響を与えました。彼の探検や植民地化に向けた努力は、近代フランスの太平洋政策においても重要な位置を占めています。

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