アマチュアリズム

アマチュアリズムの概要と歴史

アマチュアリズム（英: amateurism）とは、スポーツを行う際にはアマチュアであるべきだという信念を表した概念であり、スポーツの本質をアマチュア精神に求める考え方です。この考えは歴史の中でさまざまに変遷してきましたが、基本的な三つの要素、すなわち身分的要素、経済的要素、そして倫理的要素から成り立っています。

アマチュアリズムの条件

内海和雄によると、アマチュアリズムの主な構成要素は以下の三つに分類されます：
1. 身分的要素：特定の社会的地位の者のみが参加を許され、プロ選手との試合は禁止されるなど、職業的要素を排除します。
2. 経済的要素：スポーツを生計の手段とする者、賞金を狙う者はアマチュアとして受け入れられません。
3. 倫理的要素：スポーツの真の楽しみを重視し、フェアプレイの精神を持つ者として求められます。

歴史的背景

古代のオリンピックでは、肉体の力だけでなく、その人格も重視されていましたが、近代オリンピックの発展と共に、競技者には賞金や地位が与えられるようになり、アマチュアリズムの理念は薄れていきました。ギリシャ時代から続くアマチュアの理念は、エウリピデスなどによって職業的競技者に対する批判として語られるようになりました。特にイギリスでは、1512年に競馬に賞品が与えられ、以降プロに対する批判が強まります。

ボクシングでは、1795年にプロボクサーを倒した選手が「ジェントルマン」と名付けられる一方、ボート競技では1840年頃からプロ出場の反対運動が活発になり、1878年にはアマチュアの定義が具体化されました。このように、アマチュアリズムは地域や競技によって異なる形で発展してきました。

オリンピックとアマチュアリズム

1912年のストックホルムオリンピックでは、アメリカの陸上選手ジム・ソープが金メダルを獲得した後、マイナーリーグでのプレー歴が発覚し金メダルを剥奪される事件が起こりました。このことはアマチュアリズムの厳格さを浮き彫りにしました。さらに、労働者階級の選手が賃金補償を求める問題も早い段階から生じ、国際サッカー連盟はそれをアマチュアとして認めたことに対し、IOCは拒否したため、1932年のロサンゼルスオリンピックではサッカー競技が行われませんでした。

1970年代になり、IOCの政策が変わり、アマチュア規定が削除されるに至ります。これは時代と共に求められるスポーツの環境の変化を反映しています。特に、プロ選手の台頭や国家による選手育成が進む中で、アマチュアリズムの理念は次第に薄れていきました。

日本におけるアマチュアリズム

日本では、武田千代三郎が1922年に発表した論稿『アマチュアリズム』でこの概念が広まりました。彼は「競技道」に基づき、スポーツと金銭の関係を批判しましたが、1920年代には勝利至上主義を排除する方向へと思想が変化していきました。また、本格的なアマチュア規定は日本体育協会によって1957年に確立され、以降もアマチュアリズムの維持に努めてきました。

現代スポーツとアマチュアリズム

今日では、トップアスリートが生活の全てをスポーツに捧げる状況が一般的になり、アマチュアライズされたスポーツの理念の遵守は難しいとされています。その結果、アマチュアリズムは変化を余儀なくされ、多くの選手がプロへの道を選ぶようになっています。アマチュア精神がどう変化していくのか、今後も注目が集まります。

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