アマミノクロウサギ

アマミノクロウサギについて

アマミノクロウサギ（奄美の黒兎、Pentalagus furnessi）は、哺乳綱ウサギ科に属し、奄美大島と徳之島に生息する日本の固有種です。本種はアマミノクロウサギ属の唯一の種であり、絶滅危惧種として分類されています。

分布と個体数

このウサギは南西諸島の奄美大島と徳之島に分布しています。2021年の環境省の推計によると、全体の個体数は1万1549匹から3万9162匹とされています。その内訳は、奄美大島での推定は1万24匹から3万4427匹、徳之島では1525匹から4735匹です。過去の調査では特に徳之島の個体数は非常に少なかったですが、現在は捕獲や駆除の施策により回復傾向にあります。

特徴と形態

アマミノクロウサギは体長が41.8センチメートルから51センチメートル、体重は1.3キログラムから2.7キログラム程度です。全身は光沢のある長い体毛と、柔らかい短い体毛で覆われています。背面は黒や暗褐色で、腹面は灰褐色です。特徴的な小さな耳と小さな目を持ち、脚は短めですが、掘るための爪がしっかりと発達しています。

また、属名のPentalagusは「5つの歯を持つウサギ」という意味で、これは本種が持つ独特な上顎臼歯の本数に由来しています。

生態と行動

アマミノクロウサギは山地や海岸の常緑広葉樹林に生息しています。高度な生息環境を好み、特に高齢樹林の内部や林縁に棲息します。基本的に単独行動をするものの、同じ巣穴を複数の個体で利用することも見られます。この生き物は夜行性であり、日中は巣穴や樹洞の中で休みます。

食性は主に草本や木本で、特にススキやボタンボウフウなどを食べることが確認されています。捕食者としては、ハブや外来種であるフイリマングース、野犬、猫などが挙げられます。繁殖は胎生であり、通常は春と秋に1回1頭の幼獣を出産します。

人間との相互関係

アマミノクロウサギは過去には食用とされていた時期もあり、その毛皮が利用されることもありました。しかし、彼らは農作物や植林されたスギやヒノキにも被害をもたらすことがあるため、農業との関係も複雑です。

1950年代以降、生息地は森林伐採、交通事故、捕食者によって脅かされ、個体数は減少していましたが、フイリマングースの駆除活動により最近は個体数が回復しつつあります。

日本では1921年に天然記念物、1963年に特別天然記念物に指定され、その生息保護への取り組みも進められています。2025年度には大和村に研究施設が開設予定であり、さらなる研究と保護活動が期待されています。絶滅危惧IB類としての認識を持ちつつ、アマミノクロウサギの未来は私たちの手に委ねられています。

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