固有種

固有種とは

固有種（こゆうしゅ）とは、特定の国や地域にのみ生息、育成、繁殖する生物学上の種を指し、特産種とも呼ばれる。このような生物は、地理的に隔絶された環境、特に島嶼などで多く見られるため、地域個体群の絶滅は、即座にその種自体の絶滅に繋がる危険性がある。そのため、保護が重要視されている。

日本に特有の動植物を指して「日本固有種」と称することもある。

定義と分布

全ての生物は特有の地理分布を有している。この分布は広範な場合もあれば、狭い場合もあり、これは自然な現象と言える。特定の動物では、世界中に広がるものもあり、代表例にはヒトがある。ヒトは、現代の文明が発展する前から広域に分布していた。しかし、逆に生息範囲が非常に限られている生物も存在し、これが固有種と呼ばれる。

固有種の分布範囲については明確な基準は存在しないが、一般的には島や国などの地理的な区分に依存することが多い。例として、アマミノクロウサギやオオサンショウウオ、ムササビは日本の固有種とされることが多い。トラやキリンのように、より広域な生息をもつ種を固有種とみなすこともあるが、その範囲が広がりすぎると無意味化することがある。

固有種が多い理由

特に島嶼では固有種が多く見られるのは、個体群が隔離され、規模が小さいために種分化が起こりやすくなるからとされる。突然変異が生じた場合、他の個体群と交流することがないため、その突然変異がその個体群の固有の遺伝子として定着しやすい。小規模な集団では、その変異が広まりやすく、独特の条件による自然選択が加わることで、種分化の速度が速くなると考えられている。さらに、海洋島では初めは生物がいない状態から始まるため、侵入する種も少なく、生態的ニッチが多いため、適応放散が起こりやすい。これが固有種を増やす要因となっている。

また、陸続きでありながら生息環境が隔離されている場合や、特定の生物の移動能力が低い場合、地域個体群が孤立しやすくなり、結果的に地域固有種が生じることがある。日本においては、高山植物がその一例であり、動物のサンショウウオやカタツムリ、植物のカンアオイ属などがこれに該当する。

逆に、かつては広範な地域に生息していたものが衰微し、限られた地域にのみ生き残った場合も固有種化し、これを遺存種と呼ぶこともある。日本の固有種には、スギなどの裸子植物や、オセアニアの有袋類、カモノハシ、ムカシトカゲなどが含まれる。

関連項目

固有種について理解を深めるために、以下の項目についても知識を広げると良い。

• - ガラパゴス諸島
• - 小笠原諸島
• - 外来種
• - 絶滅危惧種
• - 琵琶湖の固有種

固有種はその地域の多様性を形成する重要な要素であり、環境保護や生物多様性の維持においても非常に大切な役割を担っている。

もう一度検索