アマミヒイラギモチ

アマミヒイラギモチの概要

アマミヒイラギモチ（奄美柊黐、学名：Ilex dimorphophylla）は、奄美大島に自生するモチノキ科の常緑低木です。別名はヒイラギモチと呼ばれ、その名の通り、ユニークな葉の形状が特徴です。樹高は通常2から4メートルに成長し、環境によってはさらに大きくなることもあります。見た目は美しく、特にその葉と花は国内の植物の中でも一際目を引きます。

特徴

アマミヒイラギモチの樹皮は灰白色で滑らかな質感を持ち、小さな皮目が目立つのが特徴です。若い枝は淡緑色をしており、細かい毛が密生しています。葉は互生的に配置されており、若木と成木でその形状が大きく変わるのが特徴的です。若木の葉は楕円形で、長さは1.5から3センチメートルほど、先端は鋭くとがっており、縁には鋸歯が見られます。一方、成木の葉は革質で、長さは1から2センチ、幅は0.8から1.5センチ、形は倒卵形または楕円状で、先端は丸みを帯び、縁は滑らかです。成木にはさらに2から3ミリの葉柄が存在します。

花期は主に5月で、雌雄異株であるため、花は前年枝の葉腋に生える短い枝に1から3個咲きます。花の萼片は4つあり、小さな広卵形をしています。花弁は緑白色で4枚あり、広楕円形で長さ約1.5ミリメートルになります。果期は11月から12月にかけてで、直径約6ミリメートルの赤い球状の果実が熟します。果実の内部には4つの種子があります。

分布と生育環境

アマミヒイラギモチは奄美大島特有の植物であり、特に最高峰の湯湾岳の山頂部や急な斜面に生育しています。この場所はアマミヒイラギモチにとって理想的な環境であり、多くの生物や植物が共存しています。しかし、園芸利用のために採集されることが多く、その結果、個体数は著しく減少してきました。

保全状況

この貴重な植物は、日本の環境省によって絶滅危惧IA類（CR）に指定されています。そのため、今後の保護活動や生育環境の保存が強く求められています。

参考文献

• - 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本II』、1989年、平凡社
• - 茂木透、勝山輝男他『樹に咲く花（離弁花2） 山溪ハンディ図鑑4』、2000年、山と溪谷社
• - 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
• - アマミヒイラギモチ 生物多様性システム、環境省
• - 指村奈穂子他「奄美大島固有の絶滅危惧種アマミヒイラギモチの生育環境と種特性」日本生態学会第59回全国大会、2012年

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