アメリカ中央軍

アメリカ中央軍（USCENTCOM）

アメリカ中央軍（United States Central Command、USCENTCOM）は、アメリカ軍の地域別統合軍の一つで、フロリダ州タンパ市にあるマクディール空軍基地に司令部を置いています。現司令官はマイケル・クリラ陸軍大将です。この軍は、中東および北東アフリカ地域を担当し、特に1980年代からの不安定化した状況へ対応するために設立されました。

歴史的背景

中央軍の成り立ちは、1980年に設立された緊急展開統合任務部隊（RDJTF）にさかのぼります。RDJTFは、アメリカ即応軍配下で中東とアフリカに重点を置いた事態対応を目的とする部隊であり、この時期にはソビエト連邦の侵攻の懸念もありました。そのため、1981年に入ると、統合参謀本部はRDJTFを地域軍へと改編する検討を始めました。1982年11月、名称が「アメリカ中央軍」と定められ、1983年1月には正式に設立されました。

最初は南西アジアおよび北東アフリカが主な担当地域でしたが、施行当初から欧州軍との管轄に関する議論が存在しました。湾岸戦争以降、中央軍の重要性は増し、イラクやアフガニスタンでの軍事作戦の実施によりそのプレゼンスは急速に高まりました。現代においては、特に軍事的な活動が活発であり、アメリカ軍の中でも重要な役割を果たしています。

編成と機能

アメリカ中央軍は、フロリダ州タンパのマクディール空軍基地に司令部があり、人事、作戦、兵站、情報などのさまざまな部門から構成されています。その中でも、情報部門は特に重要で、中央軍統合情報センター（JICCENT）が設置されて、諜報活動の調整が行われています。また、中央軍は5つの統合軍構成コマンドと1つの副統合軍から成り、これにより幅広い軍事的任務を迅速に遂行する能力を持っています。

統合軍の構成は以下の通りです：

• - 中央陸軍（USARCENT）
• - 中央海軍（NAVCENT）
• - 第5艦隊（FIFTHFLT）
• - 中央空軍（USAFCENT）
• - 中央海兵隊（MARFORCENT）
• - 中央宇宙軍（USSPACEFORCENT）

また、副統合軍として中央特殊作戦軍（SOCCENT）が存在します。これにより、さまざまな状況に対応するための特化した部隊が整備されています。

歴代司令官

中央軍の司令官ポストには、ロバート・キングストン陸軍大将を初代司令官に据え、長らく陸軍および海兵隊の出身者が任命されてきました。しかし、2007年にウィリアム・ファロン海軍大将が初めて海軍から選ばれるなど、出身者の多様化も見られました。その後、再び陸軍または海兵隊出身者に戻っているものの、中央軍の指導力は一貫して高い評価を受けています。

総括

アメリカ中央軍は、その設立から現在に至るまで、変わり続ける世界情勢に柔軟に対応してきました。特に中東地域における圧倒的な存在感と軍事的な役割は、今後も続いていくでしょう。現在もまた、国際的な安全保障やテロ対策のために重要な役割を担っています。

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