アメリカ合衆国上院

アメリカ合衆国上院

アメリカ合衆国上院、正式にはUnited States Senateは、合衆国議会の二院制における上院を指します。この機関は、古代ローマの「元老院」であるSenatusに由来し、日本語では通常「上院」と呼ばれています。上院は、代表として各州を二人の議員が持ち寄り、合計100名の議員で構成されます。上院議員の任期は6年であり、2年ごとに約3分の1の議員が改選される仕組みです。

語源と歴史

「上院」と「下院」という呼称は、アメリカの議会がフィラデルフィアにあった時代に由来しています。議員数の多い下院（代議院）が1階部分を使用し、少ない上院（元老院）が2階を占めていたため、この呼称が生まれました。アメリカ合衆国憲法の制定者たちは、二院制を創設し、一院を人民の代表とし、もう一院を州を代表する機能を持たせました。当初、上院議員は州議会によって選出されていましたが、1913年の憲法修正第17条によって、有権者の直接投票で選出されるようになりました。

上院の構成

上院は、各州から2名ずつ選出される100名の上院議員で成り立さっており、任期は6年であるため、定期的に改選が行われています。選挙制度は単純小選挙区制を採用しており、選挙権は18歳以上、被選挙権は30歳以上の合衆国市民が該当します。議員に欠員が生じた際には州補欠選挙が実施され、残りの任期を務める議員が選出されます。また上院では、各州における投票権が平等であり、憲法改正には全ての州の同意が必要です。

権限と役割

上院は、大統領の指名人事や条約の批准に関する「助言と同意」権を持ちます。この権限は上院だけのものであり、重要な役割を担っています。また、弾劾裁判においても、下院による訴追に対する裁判を行い、弾劾の決定権を持つのも上院です。予算案に関しては下院が発議権を持ちますが、成立するためには上院の承認も必要となります。

大統領の指名人事は、上院の議員の2/3による賛成が求められ、上院は条約の批准時に条文の解釈変更や条件付きの批准も行えます。このように、上院は複雑な制度の中で多くの権限を行使しており、国家政策に大きな影響を与えています。

議長と役職

上院の運営には、議長、副議長、院内総務や院内幹事といった役職があり、それぞれに特定の役割があります。副大統領が上院の議長を務めていますが、実務的な運営は上院仮議長が行うことが一般的です。仮議長は、多数党の中で最も長く在任する議員が選ばれることが通例となっています。議会内での発言権は、上院多数党院内総務が有しており、上院の議事運営に大きく関与しています。

上院では、常設の常任委員会や特別委員会を設けて審議を行います。委員会の機能により、迅速かつ効率的な議論と決定を行うことが可能です。このように、上院は連邦政府の運営において欠かせない存在であり、その影響力は大きいです。

結論

アメリカ合衆国上院は、国家の法的枠組みや政策決定において重要な役割を果たしており、連邦政府の機能を支える重要な機関です。その仕組みや歴史、権限について知ることは、アメリカの政治体制を理解する上で欠かせない要素と言えるでしょう。

もう一度検索