アメリカ国立衛生研究所

アメリカ国立衛生研究所（NIH）

アメリカ国立衛生研究所（NIH）は、米国保健福祉省の傘下に位置する重要な医学研究機関であり、1887年に設立されました。本部はメリーランド州ベセスダにあり、現在は27の専門機関とサポートオフィスが統合されて構成されています。これらの機関は、国立癌研究所や国立心肺血液研究所、国立老化研究所など、それぞれ異なる研究分野に特化して活動しています。

元々は、1870年代にアメリカ国内での伝染病が増加する中で、ニューヨーク州スターテン島の病院内に設置された衛生研究室から始まりました。特に、コレラ菌の分離などの貢献がその成り立ちの背景にあります。NIHは、病気や障害の原因、診断法、治療法、予防策に関する研究を行い、その知識を社会に広めることで人々の健康状態を改善することに重きを置いています。

約1万8000人のスタッフのうち、6000人以上が科学者として活躍しており、20名以上のノーベル賞受賞者を輩出しています。また、年々多くの研究機関に対して助成金を提供することでも知られており、年間予算は250億米ドルから300億米ドルに達します。そのうち8割以上は、2,800以上の大学や研究機関、5万人以上の研究者に配分されます。

特に注目すべきは、ヒトゲノム計画の成果を基にしたがんや神経変性疾患（パーキンソン病、アルツハイマー病など）の研究と、その診断・治療法の確立を進めている点です。また、2001年のアメリカにおけるバイオテロ攻撃以降、より安全な社会に向けた施策も強化されています。

組織的には、NIHは1937年に設立された国立癌研究所を皮切りに、様々な研究機関を新設または合併しながら発展してきました。現在の構成は、20の研究機関と7つのセンターに加え、事務局（OD）が存在します。

研究機関の一部

• - 国立癌研究所 (NCI): 癌研究に特化した機関
• - 国立心肺血液研究所 (NHLBI): 心臓や肺に関する研究を行う
• - 国立アレルギー・感染症研究所 (NIAID): アレルギーや感染症に関する研究を進める

このように、NIHは医療と健康の向上を目指して広範な研究活動と支援を行っています。特に2020年には、国立アレルギー・感染症研究所を通じて、COVID-19に対するワクチンの研究開発にも注力しており、公共の健康に寄与しています。NIHは、今後も医療や公衆衛生の革新を進めていくことでしょう。

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