アメリカ福音ルター派教会

アメリカ福音ルター派教会（ELCA）

アメリカ福音ルター派教会（Evangelical Lutheran Church in America, ELCA）は、アメリカ合衆国に拠点を置く、最大規模のルター派教会です。本部をシカゴに構え、そのリベラルな姿勢、特にゲイやレズビアンの牧師任職を認めている点で知られています。

成立の背景と規模

ELCAは1988年、3つのルター派教会の統合によって誕生しました。カナダ福音ルター派教会とは地域総会レベルで連携し、北米全体で大きな影響力を持っています。教会員数は約410万人を擁し、バハマ、バミューダ諸島、プエルトリコ、アメリカ領ヴァージン諸島にも姉妹教会を持っています。ELCAは、カトリック教会、米国聖公会などと共に、アメリカにおける主要なキリスト教教派の一つとして存在感を示しています。アメリカにはELCAの他に、ルター派教会ミズーリシノッド、ルター派教会ウィスコンシン・シノッドといった大規模なルター派教会が存在します。

組織構造

ELCAは、監督が指導する体制をとっており、監督は6年ごとの全体総会で選出されます。全体総会は、地域会議で選ばれた信徒や牧師によって構成され、奇数年に開催されます。総会閉会中は、全体教会の常議員会が教会を指導します。組織構造は以下の3層からなります。

全体教会
地域会議（教区）
地方教会（共同体）

ELCAは、アメリカ本土とカリブ海地域にある64の地域会議（教区）と、特定の管轄を持たない地域会議教区（スロバキア系シオン総会）に分かれています。各地域会議は、地域監督と地域会議常議員会によって運営されています。全体教会の段階では、宣教、教育、訓練など、様々な目的を持つ組織が存在します。また、アメリカ国内にはELCAと関係を持つ28の大学が存在します。地方教会は法的に独立した公法人であり、地域会議や全体教会への財政援助を主な役割としています。メリーランド州ボルチモア市のシオン教会では、1755年以来、ドイツ語による礼拝が続けられています。ELCAでは、男性だけでなく女性も牧師として任職されています。

保守派の離脱と北米ルター派教会（NALC）の設立

2009年の全体総会において、ELCAは同性愛者の牧師任職を認める決議を行いました。これは、公的に承認されたパートナーと生活を共にするゲイやレズビアンの牧師を対象としたものでした。しかし、この決議は保守派からの強い反発を招き、一部の教会共同体がELCAから離脱する事態となりました。2010年には、離脱した総会議員を中心に「北米ルター派教会」（NALC）が設立され、多くの教会員がルター派教会ミズーリシノッドへ移籍しました。NALCは約14万人の信徒と424の教会を有し、オハイオ州に本部を置いています。NALCは、自身をルター派の主流派と位置づけ、キリスト中心主義、宣教主義、伝統主義を重視し、各教会の独立自治を尊重しています。

歴代監督

H・ジョージ・アンダーソン（1995年 – 2001年）
マーク・S・ハンソン（2001年 – 2013年）
エリザベス・A・イートン (2013年11月 –)

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