アメリカ賞

アメリカ賞：フランス繋駕速歩競走の最高峰

アメリカ賞（Prix d'Amérique）は、フランスで開催される繋駕速歩競走の最高峰レースです。パリ近郊のヴァンセンヌ競馬場で行われ、その歴史と伝統、そして高い人気から、フランスのみならず世界中から注目を集めています。

歴史と伝統

1920年、第一次世界大戦におけるアメリカ合衆国の参戦への感謝の意を込めて創設されました。当初は2,500mの距離で行われていましたが、その後徐々に距離が変更され、1994年からは現在の2,700mで施行されています。第二次世界大戦の影響で1940年と1941年は開催が中止されましたが、1942年には再開されました。

長年にわたる歴史の中で、数々の名馬が栄光の舞台に立ち、伝説を刻んできました。中でも、ウラジ（Ourasi）は1986年、1987年、1988年、1990年の4勝という圧倒的な記録を達成し、アメリカ賞の歴史に名を刻んでいます。

レースの魅力とスケール

アメリカ賞は、フランスにおける繋駕速歩競走の頂点に位置するレースとして、高い人気を誇ります。2014年には、悪天候にもかかわらず約3万3,000人の観客がレース観戦に訪れました。これは、平地競走の最高峰である凱旋門賞（2018年開催時の観客動員数約3万5,000人）に匹敵する規模であり、レースの盛況ぶりを物語っています。

レース当日は、第1競走の前に、出場騎手を乗せたクラシックカーのパレードが行われるなど、華やかで盛大なイベントとして開催されています。

記録と逸話

アメリカ賞の記録は、常に更新され続けています。2007年には、3分14秒49という驚異的なタイムが記録されました。一方、2006年には、優勝馬であるJag de Bellouetが失格となる出来事がありました。製造事故により、使用されたビタミンCにトルフェナム酸という通常存在しない物質が混入していたことが原因でした。この事件は、レースの厳格な薬物検査の重要性を改めて示すこととなりました。

アメリカ賞の未来

アメリカ賞は、フランスの繋駕速歩競走を代表するレースとして、その歴史と伝統を守りながら、現代の競馬界に新たな魅力を添え続けています。今後も、世界中のファンを魅了する、最高峰の競走として発展していくことでしょう。 数々のドラマが繰り広げられてきたアメリカ賞は、これからも競馬史に名を残す、記憶に残るレースとして語り継がれていくに違いありません。 レースの規模、歴史、そしてその伝統は、フランスの競馬文化を象徴する存在と言えるでしょう。

※本文中のタイムは、km当たりの換算値ではなく、走破時計です。

もう一度検索