アメリカ陸軍犯罪捜査局

アメリカ陸軍犯罪捜査局 (CID)

アメリカ陸軍の犯罪捜査局（CID）は、陸軍内で発生する重大な犯罪や軍法違反、さらには米国の法律に対する重大な違反を調査するための連邦法執行機関です。CIDは独自の捜査権限を持ち、特別捜査官は軍人または民間人のいずれかであり、陸軍の指揮系統に直接報告します。海軍犯罪捜査局（NCIS）や空軍特別捜査局（OSI）のように防諜を任務に含むことはありません。

概要

CIDは、告発を直接行うのではなく、申し立て内容の調査を行います。その後、調査結果は適切な部隊の司令部に提出され、処分や裁定がなされます。この機関は、犯罪の疑惑がある軍人や民間人に対し、十分な理由があれば権限を行使します。CIDの特別捜査官の大半が下士官や准尉ですが、宣誓した民間人も含まれます。

CIDは、スパイ活動やテロリズムを除く、重犯罪の捜査を専任で行っています。これらの特定の国家安全保障関連の犯罪は、アメリカ陸軍防諜部（ACI）が捜査します。しかし、状況によっては合同捜査が行われることもあります。CIDは1971年に設立され、現在はバージニア州クワンティコ海兵隊基地に本部を置いており、世界中に約3,000人の職員が配置されています。

沿革

CIDの起源は第一次世界大戦中に遡ります。当時、アメリカの外征軍において犯罪の取り締まりが必要とされ、憲兵隊内に犯罪捜査部が設立されました。ところが、捜査活動は一元化されず、各憲兵隊長に委ねられていたため、運営に限界がありました。第二次世界大戦中、再び自浄作用の必要性が認識され、体制が見直されました。1944年に犯罪捜査部が再設置され、全ての捜査を監督する体制が整いました。1971年にCID司令部が設置され、陸軍全体の犯罪捜査を担当することとなりました。

2021年にはフォート・フッドで発生した殺人事件を受けて、CIDの再編成が行われました。これにより、文民が局長に任命され、CIDの権限が強化されることとなりました。また、専門的な訓練を受けた軍人がCIDにも配属されるようになり、質の向上が図られることになりました。

選抜と訓練

2022年現在、CIDの特別捜査官は、軍からの応募を受け付けておらず、連邦公務員を通じて採用が行われています。特別捜査官候補者は、特定の条件を満たし、選抜過程を経た後、CID特有の訓練を受けます。この訓練により、候補者は法執行機関としてのスキルを身につけ、必要な専門知識を習得します。

新たに配属されるCID捜査官は、最初にジョージア州の連邦法執行訓練センターで訓練を受け、その後CIDの方針や手順に従った訓練が行われます。特別捜査官は通常、私服を着用し、任務の特性によって衣服の選択が柔軟に対応されます。

任務

CIDの主な任務として、重大犯罪の捜査から犯罪情報の収集、分析、普及まで多岐にわたります。また、法医学の研究所を支援し、陸軍内の犯罪記録を管理する役割も担っています。CIDはさらに特殊任務として、戦場での警備や刑事事案の捜査を行い、要人警護も手掛けています。

CID特別捜査官は、規定された装備を有し、捜査任務に従事します。また、制服のデザインやシンボルには、CIDの使命と広範な権限を象徴する要素が盛り込まれています。

結論

アメリカ陸軍犯罪捜査局は、その歴史から現代に至るまで、陸軍内の安全を維持し、法律を厳守するための重要な役割を果たしています。今後も、その専門性と能力を強化しながら、様々な任務を遂行し続けることでしょう。

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