軍

軍の概要

軍（ぐん、英: army）は、陸軍部隊を組織する際の基本的な編制単位であり、主に戦略的な役割を果たします。この単位は、複数の軍団により構成されることが一般的で、その位置づけや規模は各国や時代によって異なります。一般には軍集団や方面軍の下に位置し、軍団や師団の上に位置しています。特に現場で活躍する野戦軍（英: field army）とも称され、この編成の重要性がうかがえます。

大日本帝国陸軍における軍

大日本帝国陸軍では、軍団が編成単位として存在しなかったため、軍は師団の上に位置する直接の上級部隊となっていました。1937年に始まった日中戦争以前は、高級部隊は主に師団のみでした。海外領土には、朝鮮軍、台湾軍、関東軍、支那駐屯軍の4つの軍が配置されていましたが、これらは警備部隊として機能し、その規模は小さかったものの、実際の戦闘機能を持っていました。

有事の際、必要に応じて軍が編成され、数個師団と独立部隊によって構成されました。日中戦争以降、陸軍の増強に伴い、数多くの軍が設立され、他国の軍集団に匹敵する方面軍や支那派遣軍といった形で組織されていきました。軍の長は「軍司令官」と呼ばれ、主に陸軍大将が任命されていましたが、軍の数が増えるにつれ、陸軍中将が任命されることも多くなりました。

日本陸軍では、軍の符号が「A」で表記され、1A、第2軍といった形で呼ばれます。また、軍司令部は兵站や人事管理を担当し、他国の軍司令部と同様の機能を持っています。1942年以降、陸軍航空部隊では、飛行師団を超える上級部隊として航空軍が編成され、地上軍に相当する役割を果たしています。

陸上自衛隊における軍

陸上自衛隊では、方面隊が複数の師団と旅団から成り立っており、これらは日本陸軍の軍やアメリカ陸軍の野戦軍に相当する組織形態です。また、方面総監部が人事や補給管理を担当する役割を果たしています。

アメリカ陸軍における軍

アメリカ陸軍では、野戦軍（Field army）は師団の上級部隊として位置づけられており、必要に応じて軍団を隷下に組み込むことがあります。これらの軍は陸軍の中で最も大きな編成であり、その上級部隊は戦域コマンドとなります。時には軍集団が編成されることもあり、部隊番号で呼称されるケースが多いです。

ソ連陸軍における軍

ソ連陸軍では、軍は複数の師団から構成され、かつての日本陸軍の軍に類似するサイズの部隊となります。ソ連陸軍の軍は、複数が集合して戦線を形成し、軍集団と同じ規模で活動します。

総括

軍は各国の陸軍において中心的な役割を果たし、その編制や機能は地域や時代に応じて多様です。日本陸軍の歴史や現在の自衛隊、アメリカやソ連の軍の構成について学ぶことにより、軍という単位の重要性がより明確になります。

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