アメージング・ストーリーズ

アメージング・ストーリーズの歴史

『アメージング・ストーリーズ』（英: Amazing Stories）は、1926年にアメリカで発刊された世界初のサイエンス・フィクション専門誌です。この雑誌は、アメリカにおけるSFの先駆けとなり、今日のサイエンス・フィクション文学の発展に大きな影響を与えました。創刊者はヒューゴー・ガーンズバックで、彼はこのジャンルを「サイエンティフィクション」と名付け、その後一般的な用語として「サイエンス・フィクション」となりました。

創刊と初期の特徴

1926年4月に発刊された『アメージング・ストーリーズ』は、パルプ・マガジンの一部ではありましたが、内容はすでに多くの人々に知られる名前であるウェルズやヴェルヌ、ポーなどの作品を掲載していました。表紙のデザインには、著名なSF画家フランク・R・パウルが関わっており、誌名は特徴的なスタイルで描かれています。また、紙質は一般的なパルプ・マガジンよりも優れたものであり、少し高価に設定されていました。

『アメージング・ストーリーズ』は、当時人気のある探偵小説や西部劇、少女向け物語などのジャンルを扱わず、純粋なサイエンス・フィクションの作品のみを特集していました。この特徴的なアプローチは、ガーンズバックが目指した「サイエンティフィック・ロマンス」に基づいています。

雑誌の変遷と困難

この雑誌は順風満帆ではなく、1929年にはエクスペリメンター出版が破産し、『アメージング・ストーリーズ』も売却される運命を辿ります。ガーンズバックはすぐに新しい出版社を立ち上げ、同年にはライバル誌『サイエンス・ワンダー・ストーリーズ』を創刊しました。新たな編集長にはオコンナー・スローンが任命され、その後の『アメージング』は数回の出版社の変更を経て、シリアスさを薄めた路線で商業的に成功を収めました。

ところが、地底人の物語を事実として掲載したことで批評家やファンから批判を受け、その評価は揺らぎます。1939年にはZiff-Davis社に売却され、レイモンド・A・パーマーが編集長に就任しました。これにより、その後数年間にわたって雑誌は安定した発行を続けましたが、地道な変遷は続きます。

振り返ると

『アメージング・ストーリーズ』は1926年から1990年代にかけて様々な変化を経ながらも続刊され、その後何度かの休刊を経て、2004年に再発行されるも再び休刊となります。また、日本でも1950年に『アメージング・ストーリーズ日本語版』が出版されましたが、短期間で中断されてしまいました。その後の日本におけるSF翻訳出版の難しさは、この雑誌の初期の失敗が影響していると指摘されています。

このように『アメージング・ストーリーズ』は、アメリカSFの礎となっただけでなく、その後も多くの関連する作品やメディアに影響を与え続けています。特に、1985年から87年にかけて放送されたテレビドラマ『世にも不思議なアメージング・ストーリー』の名前もこの雑誌から取られています。今日でもその名はSFファンの間で語り継がれており、サイエンス・フィクションというジャンルの重要な一部を形成しています。

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