アモール (小惑星)

小惑星アモール (1221 Amor) について

小惑星アモールは、地球近傍小惑星の一つであり、アモール群というグループの代表的な天体です。この小惑星は、地球と火星の軌道の間を公転しており、しばしば火星の軌道を横断します。しかし、地球の軌道と交差することはありません。アモールは、地球に接近する小惑星として知られていますが、直接地球の軌道に侵入することはありません。

発見の経緯

アモールは、ベルギーの天文学者ウジェーヌ・デルポルトによって1932年に発見されました。デルポルトは、アモールが地球から1600万km（地球と月との距離の約40倍）まで接近した際に、写真撮影に成功しました。この発見は、小惑星がこれほどまでに地球に接近する可能性があることを初めて明らかにした事例として、天文学の歴史において重要な出来事となりました。この発見に続き、翌月には小惑星アポロも地球に接近していることが判明し、小惑星が地球に衝突する可能性に対する科学者の懸念が高まるきっかけとなりました。

名前と関連する小惑星

アモールの名前は、ローマ神話の愛の神であるクピド（キューピッド）の別名、アモルに由来しています。この名前は、同じような命名規則を持つ小惑星、(763) クピドや、ギリシア神話でキューピッドに相当する(433) エロスなどにも関連しています。

エロスもアモールと同様に、地球近傍小惑星であり、火星横断小惑星に分類されます。興味深いことに、地球近傍小惑星には男性神の名前がつけられるという命名規則があります。この規則から考えると、エロスとアモルの命名は偶然ではないかもしれません。クピドについては、エロスやアモルと比較して、中性的または両性具有的なイメージがあるためか、小惑星帯の中でも比較的太陽に近い領域を周回する小惑星に命名されています。

アモールの軌道と特徴

アモールは、その軌道特性から地球に接近するものの、地球の軌道を横断することはありません。しかし、その発見は、地球近傍小惑星の研究において重要な転換点となりました。アモールの発見を通じて、小惑星が地球に接近する可能性とその影響が認識されるようになり、その後の小惑星探査や地球防衛の取り組みに大きな影響を与えました。

小惑星研究におけるアモールの意義

アモールは、地球近傍小惑星群の研究における重要な指標であり、その発見は小惑星の軌道力学や地球への潜在的なリスクを理解する上で、非常に貴重な情報を提供しています。また、アモールの名前は、その後の小惑星命名の慣例にも影響を与え、地球近傍小惑星に対する関心を高める役割を果たしました。

関連項目

小惑星の一覧 (1001-2000)
プシケ (小惑星)

外部リンク

* 1221 Amor JPL Small-Body Database Browser

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