アモール群

アモール群小惑星について

アモール群（アモールぐん）またはアモール型小惑星は、地球近傍小惑星の一つで、代表的な小惑星である（1221）アモールに由来する名前です。このグループの小惑星は、地球の公転軌道を外側から接触しますが、軌道は交差しないのが特徴です。また、多くのアモール群の小惑星は火星の軌道も横断しており、火星の衛星であるフォボスとダイモスが、このアモール群の小惑星によって火星の重力に捕まり形成されたと考えられています。

アモール群の小惑星の数

2005年までに、1,200以上のアモール群小惑星が発見されました。このうち、200個弱には番号が、50個以上には名前がついています。アモール群は、特に宇宙探査の観点で重要な存在で、その中でも（433）エロスは特に有名です。この小惑星は、宇宙探査機NEARシューメーカーにより初めて軌道に乗り、着陸された小惑星でもあります。

アモール群のサブグループ

アモール群は、太陽からの距離に基づいて4つのサブグループに分けることができます。

アモールI

アモールIグループには、軌道の長半径が地球と火星の軌道の間にあたる1.000から1.523天文単位の小惑星が含まれています。このサブグループはアモール群全体の約5分の1を占めており、比較的離心率の小さい軌道を持つことが特徴です。例えば、(15817) ルチアーノ・テーシのような小惑星は、火星の軌道を横断せず、地球と火星との間に位置しています。これは、アテン群やアポロ群、またアリンダ族の小惑星などもこの範囲に含まれるため、全ての小惑星がアモール群とは限りません。

アモールII

アモールIIグループは、火星の軌道と小惑星帯の中間に位置する1.52から2.12天文単位の軌道長半径を持つ小惑星を含み、アモール群の約3分の1がこのサブグループに分類されます。これらの小惑星は、離心率が0.17から0.52に設定され、軌道が小惑星帯を外れて火星の軌道に接触します。

アモールIII

アモールIIIには、アモール群の約半数が属し、2.12から3.57天文単位の間にある小惑星が含まれます。このサブグループの小惑星は、高い離心率（0.4から0.6程度）をこのため地球の近傍に近づくことができます。中には、木星の軌道まで達する小惑星も存在し、(719) アルベルトや(1036) ガニメドなどがその例です。特に(5370) タラニスは、木星の軌道と交差する特異な軌道を持っています。

アモールIV

アモールIVグループに属する小惑星は、軌道長半径が3.57天文単位を超え、木星の軌道と交差するため非常に離心率が高く（0.65から0.75）、彗星やダモクレス族の特性に近い特徴を持ちます。このグループにおいて名前がついている小惑星は(3552) ドン・キホーテだけであり、他には(85490) 1997 SE5が番号を与えられています。また、土星の軌道と交差するアモール群小惑星は見つかっておらず、2011 WT2の発見時にはその軌道の可能性が疑われたものの、再発見後には否定されています。

主なアモール群小惑星

アモール群には、多くの関連する小惑星が存在し、地球近傍小惑星の研究において重要な位置を占めています。この群は、地球や火星の影響を受けやすい小惑星の特性的な集まりであり、これにより未来の宇宙探査における役割も大いに期待されいます。

関連項目

• - 地球近傍小惑星
• - 準衛星
• - 火星横断小惑星
• - 木星横断小惑星
• - ダモクレス族

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