アライアンス・オブ・アメリカン・フットボール

アライアンス・オブ・アメリカン・フットボール（AAF）は、2019年に短期間存在したプロアメリカンフットボールリーグです。映画製作者のチャーリー・イーバーソルと元NFL幹部のビル・ポーリアンによって共同で創設されました。高品質な試合提供を目指して立ち上げられましたが、わずか1シーズン足らずでその活動に終止符が打たれました。

リーグ創設のアイデアは、共同創設者の一人であるイーバーソルが、かつて存在したプロフットボールリーグXFLに関するドキュメンタリーを制作していた2016年頃に芽生えたとされています。興味深いことに、同時期にXFLを立ち上げたヴィンス・マクマホンも同リーグの復活を計画しており、イーバーソルは当初、マクマホンからのブランド買収を打診したものの成功しなかったという経緯があったと伝えられています。その後、イーバーソルはポーリアンら経験豊富な人材と共に独自のリーグ設立へと動き出し、2018年3月20日にアライアンス・オブ・アメリカン・フットボールとして正式にその設立が発表されました。

過去の試み、特に2001年のXFLが競技レベルの低さから批判されたことを反省点とし、AAFはプロ経験のあるコーチ、選手、運営スタッフを積極的に採用することで、高いレベルのフットボールを提供することに重点を置きました。リーグの構造は従来のフランチャイズ制とは異なり、リーグの中央組織が全8チームを所有・管理する形態をとっていました。チームの本拠地はアメリカの西部と南部に集められ、バーミンガムを除くすべての都市は、既に他の主要プロスポーツが存在する大都市圏に位置していました。

2018年10月16日には、待望の開幕シーズンのレギュラーシーズン日程が発表されました。試合は毎週土曜日と日曜日にそれぞれ2試合ずつ組まれる計画でした。リーグは、アメリカ最大のスポーツイベントであるNFLのスーパーボウルのわずか6日後、2019年2月9日に華々しい開幕を迎えました。レギュラーシーズン終了後には、上位4チームによるプレーオフが2019年4月27日から開催される予定でした。

しかし、リーグはレギュラーシーズンの途中で突然暗転します。新たな主要投資家となりチェアマンに就任したトーマス・ダンドン氏の指示により、2019年4月2日、すべての競技活動が突然中止されたのです。この決定は非常に急であり、選手たちはコーチから直接伝えられるよりも前に、インターネット上のニュース速報で自らの失業を知るという異例の事態となりました。さらに、多くの選手は滞在していたチーム指定のホテルから即座に退去を求められ、故郷への帰りの交通費も自己負担しなければならないなど、選手に対するリーグ側の対応は極めて劣悪でした。

競技中止から2日後の4月4日、AAFは公式ツイッターアカウントを通じて、契約下にあった選手たちが、NFLチームを含む他リーグのチームと自由に契約できるようになったことを発表しました。こうして、2019年のAAFシーズンは、計画されていたプレーオフを行うことなく、わずか8週間で唐突に幕を下ろしました。

アライアンス・オブ・アメリカン・フットボールは、その短い活動期間の中で、新たなプロスポーツリーグ立ち上げの難しさや、経営判断が競技者にもたらす深刻な影響を浮き彫りにした事例として記憶されています。高品質なフットボールを目指すという志はあったものの、経営基盤の不安定さや突然の投資家の撤退（中止指示）により、多くの関係者、特に選手が混乱と不利益を被る結果となりました。

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