アラスカ州の郡一覧

アラスカ州は、アメリカ合衆国の中でも特異な行政区分を持つ州です。一般的に「郡」として知られる地域は、アラスカ州では「ボロー（Borough）」と呼ばれ、地方自治体としての機能を果たしています。しかし、州内には19のボローに加え、地方自治体ではない「国勢調査地域（Census Area）」が11存在します。

アラスカ州の郡（Borough）

アラスカ州の郡（Borough）は、1962年から順次設置された地方自治体です。これは他の州の「郡（County）」に相当する行政単位であり、人口が比較的多い地域がボローとして組織されています。アラスカ州のボローは、他の州の郡と同様の機能を持っていますが、州全体の半分以下の領域しかカバーしていません。

非自治郡と国勢調査地域

ボローとして組織されていない残りの地域は、総称して「非自治郡（Unorganized Borough）」と呼ばれています。この広大な非自治郡を統計調査のために分割したのが、11の「国勢調査地域」です。これらの地域は、地方自治体ではなく、あくまで統計上の区分として存在します。国勢調査地域は、1970年の国勢調査からアラスカ州と国勢調査局が協力して設定したもので、ほぼアラスカ州下院議員選挙区と一致しています。

非自治郡の面積は828,413平方キロメートルと、アラスカ州の半分以上を占め、アメリカ合衆国のどの州よりも広い面積を持っています。2020年の国勢調査によると、この地域には州人口の10.5％にあたる77,157人が居住しています。

市郡（統合市郡）

アラスカ州には、郡（Borough）でありながら、同時に一つの市でもある「市郡（統合市郡）」が存在します。これは他の州の「統合市郡（consolidated city-county）」に相当するもので、ジュノー市郡、ヘインズ郡、シトカ市郡、ヤクタト市郡、ランゲル市郡、およびアンカレッジ自治市が該当します。アンカレッジの場合、正式名称は「アンカレッジ自治市」ですが、州法上は統合市郡として扱われます。

これらの市郡は、郡に属さない「独立市（independent city）」とは異なり、郡の枠組みの中で都市機能も果たしています。

歴史的変遷

アラスカ州の行政区画は、歴史の中でいくつかの変遷を経てきました。1900年以前は、2つの地区（District）に分かれていましたが、1900年6月6日には3つの司法管区（Judicial Division）に分割されました。その後、1909年3月3日には、第四司法管区が創設され、1960年2月20日には4つの司法管区は統合され、単一の司法管区となりました。

司法管区は国勢調査では郡に相当する区分として扱われ、さらに小地区（District）に分割されていました。1960年の国勢調査では選挙区（Election District）が用いられ、1970年の国勢調査では国勢調査区（Census Division）が使用されました。1962年以降は郡と非自治郡に分かれましたが、国勢調査結果は一律で国勢調査区と呼称されました。1980年以降は行政区画に基づいて国勢調査が実施されるようになり、非自治郡には国勢調査地域が設置されました。

廃止された国勢調査地域

近年、いくつかの国勢調査地域は廃止や再編が行われています。ランゲル・ピーターズバーグ国勢調査地域はランゲル市郡とピーターズバーグ国勢調査地域に、スカグウェイ-フーナー・アングーン国勢調査地域はスカグウェイ郡自治市とフーナー・アングーン国勢調査地域に、バルディーズ・コルドバ国勢調査地域はチュガック国勢調査地域とカッパーリバー国勢調査地域にそれぞれ再編されました。

まとめ

アラスカ州の郡相当地域は、複雑な歴史と特殊な事情により、他の州とは異なる形態をとっています。19のボローと11の国勢調査地域、そして統合市郡の存在が、アラスカ州の多様な地域性を反映していると言えるでしょう。

これらの情報は、アラスカ州の地方自治と統計調査の理解を深める上で重要な要素となります。

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