アラフドアートアニュアル

アラフドアートアニュアルとは

アラフドアートアニュアルは、福島県福島市を舞台に開催された現代美術展であり、地域社会と芸術との対話を重視した芸術祭です。2011年の東日本大震災とそれに続く原発事故の影響を受けた地域を背景に、芸術を通じて人々の心を繋ぎ、未来への希望を見出すことを目的として開催されました。主催は、アラフドアートアニュアル実行委員会と福島市です。

開催の背景

2011年3月11日の東日本大震災は、福島県を含む東北地方に甚大な被害をもたらしました。特に福島第一原子力発電所の事故は、地域住民の生活に大きな影響を与え、多くの人々が避難生活を余儀なくされました。土湯温泉町は、比較的放射線量が低かったことから、県内各地からの避難者を受け入れましたが、震災前には16軒あった温泉宿も、2013年には11軒に減少しました。この状況を背景に、「地震・津波・放射能・風評被害」といった複合的な問題に直面している現状に対して、芸術を通じた対話の場を創出し、未来への希望を繋ぐことを目指し、本芸術祭は企画されました。

開催概要

第1回 (2013年)

開催期間：2013年9月6日～10月14日

テーマ：「言葉を超えた対話の可能性」

土湯温泉町の廃屋や空き家を会場とし、こけし工人、研究者、現代美術家が参加。地域住民との共同制作やワークショップを重視しました。プレイベントとして、現代美術家による創作こけし展やシンポジウムも開催され、来場者数は1.2万人に達しました。

第2回 (2014年)

開催期間：2014年9月5日～10月13日

テーマ：「寛容」

開催地域を福島市西部地域に拡大し、国内外のアーティストや研究者が参加しました。特に海外からの参加者が増え、問題提起の視点に多様性がもたらされました。香港のアーティスト、パク・シェン・チェンが率いるL+による、福島と香港で同時開催する町歩きツアーは、土地と記憶のあり方を問いかける試みとして注目を集めました。来場者数は3万人に増加しました。

第3回 (2015年)

開催期間：2015年3月14日～5月2日

テーマ：「When the Wind Blows / 風が吹くとき」

開催地を北アイルランド・ポータダウンに移し、ミレニアムコートアートセンターとの国際交流展として開催されました。キュレーターはユミソンと増山士郎が務め、福島とポータダウンの二部構成で、福島の現在と核後の世界というテーマを問いかけました。ポータダウン郊外の核シェルターをテーマにした展示は、現実的なリアリティを持って核の問題を提起しました。

各回の特徴

2013年

テーマ：「言葉を超えた対話の可能性」
こけし工人、研究者、現代美術家が協力して作品を制作。
地域住民とのワークショップを重視した芸術祭。
展示会場：土湯温泉町の廃屋や空き家
来場者数：1.2万人

2014年

テーマ：「寛容」
国内外から39人のアーティストや研究者が参加。
開催地域を福島市西部地域に拡大。
海外からの参加者が増加し、多様な視点が導入された。
来場者数：3万人

2015年

テーマ：「When the Wind Blows / 風が吹くとき」
北アイルランド・ポータダウンのミレニアムコートアートセンターで国際交流展として開催。
福島の現在と核後の世界をテーマとした二部構成。
核シェルターをテーマにした展示を通して、核の問題を提起。

参加アーティスト

各回で多くのアーティストが参加しており、多様なジャンルの作品が展示されました。詳細な参加アーティストについては、インプット情報に記載の通りです。

総合ディレクター

ユミソンが総合ディレクターを務めました。2015年のポータダウンでの展示では、増山士郎がコキュレーターとして参加しました。

アラフドという言葉について

「アラフド」とは、新雪を踏み固め道筋をつくるという東北地方の方言です。この言葉には、困難な状況の中で新たな道を開拓するという、本芸術祭の理念が込められています。

終わりに

アラフドアートアニュアルは、地域社会の課題を芸術を通して問いかける、意義深い試みでした。震災からの復興という大きなテーマを掲げ、地域住民、国内外のアーティスト、研究者との対話を通して、新たな価値創造と未来への希望を創出しました。

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