アラブ イスラーム学院

アラブ イスラーム学院（Arabic Islamic Institute in Tokyo, AIIT）

アラブ イスラーム学院は、かつて東京都港区元麻布に存在した文化センターです。在日サウジアラビア大使館の付属機関であり、イマーム・ムハンマド・イブン・サウード・イスラーム大学の東京分校という位置づけでした。

概要

1982年に設立されたアラブ イスラーム学院は、サウジアラビア政府の資金援助を受け、日本とアラブ・イスラーム圏との相互理解と友好関係の強化を目的としていました。アラビア語教育をはじめ、アラブ・イスラーム文化に関する情報提供や交流活動を幅広く展開していました。

沿革

1982年：イマーム大学の東京分校として設立。渋谷に仮校舎を設置し、アラビア語講座を開始。
1987年：麻布のサウジアラビア大使館内に移転。
1996年：旧大使館建物の取り壊しと再建築（1998年まで）。
2001年：アラビア語講座の新プログラムを開始。
2019年：施設を閉鎖。
2020年：閉鎖前から登録していた生徒に限り、別会場で授業を提供。

主な活動内容

アラビア語クラス

アラブ イスラーム学院の大きな特徴は、ネイティブ講師によるアラビア語の授業でした。2年間でアラブ諸国の中学・高校レベルの基礎的な正則アラビア語の習得を目指すカリキュラムが組まれていました。昼間クラスと夜間クラスがあり、それぞれ週5日と週3日の授業が行われていました。

受講資格として、日本国籍または自国大使館からの推薦状が必要であり、学歴や年齢の条件も設定されていました。学期末試験に合格することで、イマーム大学から基礎アラビア語課程の学位が授与されました。

アラビア語課外講座

アラビア語書道教室やアラブ文学、日本語アラビア語間翻訳など、様々な課外講座が開講されていました。

シンポジウム

日本とアラブの文化交流や、サウジアラビアと日本の関係など、様々なテーマでシンポジウムが開催され、研究発表が行われていました。

アラビア語コンテスト

大学生や高校生を対象としたアラビア語コンテスト（旧アラビア語オリンピック）が毎年開催され、アラビア語タイピング、アラビア書道、アラビア語スピーチなどの競技が行われていました。

文化交流

アラブ イスラーム学院は、日本とアラブ世界との文化交流を促進するため、様々な活動を展開していました。ホームページの作成や、シンポジウムの講演内容をまとめた論文集の出版・配布などを通して、アラブ世界を日本に、日本をアラブ世界に紹介していました。

学術提携

東海大学と連携に関する覚書を締結し、アラブ・イスラム世界との相互理解を深める教育プログラムを共同で開講するなど、学術的な交流も行っていました。

学院の主張

学院は、イスラーム原理主義に近い立場をとり、『正統にして純粋なるイスラームの教え』を主張していました。しかし、一般向けには他宗教に対する寛容さや共存を訴え、ジハードについても防衛戦争のみを認めるなど、穏健な側面も示していました。

閉鎖

アラブ イスラーム学院は2019年に施設を閉鎖し、現在はウェブサイトも閉鎖されています。

関連項目

日本とサウジアラビアの関係
中田考
ワッハーブ派
イスラム原理主義
* シャリーア

もう一度検索