アラモ伝道所

アラモ伝道所（アラモ砦）

テキサス州サンアントニオに位置するアラモ伝道所は、正式には「サンアントニオ・デ・バレロ伝道所」として知られています。この建物群は、かつて聖域と付属施設から成り立っており、現在は歴史博物館として多くの訪問者を迎えています。

伝道所としての始まり

この地がスペイン帝国によって支配されていた18世紀、アラモは地元のインディアンをキリスト教へと導き、教育を施すための施設として建設されました。ニュースペイン副王領の許可を得て、1718年にアントニオ・デ・オリバレス司教によって創設されたのがその始まりです。彼は、リオグランデ川沿いのサンフアン・バウティスタ近郊にあったフランシスコ・ソラノ伝道所から、改宗したインディアンたちや自身の記録を携えてやって来ました。現在の場所に落ち着いたのは1724年のことで、建物の礎石は1744年5月8日に据えられました。アラモは、サンアントニオ川沿いに後に複数建設される伝道所の中で、最初に建てられたものでした。今日、これらの伝道所のいくつかは、サン・アントニオ・ミッションズ国立歴史公園として大切に保存されています。

しかし、1765年を過ぎると、伝道活動は次第に活気を失っていき、1793年には伝道所としての役割を終え、放棄されることになります。関連する公的な文書は、近くのサンフェルナンド教会へと移されました。

軍事拠点としての利用と名称の由来

伝道所が使われなくなった後、19世紀初頭の1803年には、メキシコのコアウイラ州にあるアラモ・デ・パラスから来たスペイン軍の部隊が、この放棄された建物群を占領し、軍事拠点として利用し始めました。一部の歴史家は、この時に現在の「アラモ」という名称が定着したと考えています。また別の説としては、この地の近くに多く生えていたハコヤナギを意味するスペイン語の単語「álamo」にちなんで名付けられたというものがあります。

アラモの戦い

1835年12月頃まで、この建物はメキシコ軍によって継続的に占領されていましたが、テキサス革命の過程で、マルティン・ペルフェクト・デ・コス将軍からテキサス軍へと引き渡されました。そして、1836年2月23日、ウィリアム・トラヴィス中佐率いる約187名のテキサス軍部隊がアラモに入り、迫り来るメキシコ軍に対する防御体制を敷きました。これに対し、サンタ・アナ将軍率いる約6,000名のメキシコ軍は、アラモを包囲し、13日間にわたる激しい攻撃を行いました。包囲戦は3月6日に最高潮に達し、テキサス軍の守備隊は壮絶な戦いの末、全員が命を落としました。メキシコ軍も、およそ200名の戦死者と400名の負傷者を出したと推定されています。

この戦闘が軍事的にどれほど重要であったかについては学者間で議論がありますが、テキサス軍兵士たちの示した勇気と犠牲は、「リメンバー・ジ・アラモ」（アラモを忘れるな）というスローガンとなり、その後のテキサス革命における戦いを戦う兵士たちの大きな精神的な支えとなりました。テキサスに住む人々は、この戦闘が行われたアラモの建物を今も特別な場所として敬っています。

戦後の変遷と保存

アラモの戦いが終わった後、砦はほとんど廃墟のような状態でした。すぐに修復されることもなく、テキサス共和国は1841年1月13日、アラモの聖域部分をカトリック教会に返す法律を制定しました。その後テキサスがアメリカ合衆国に併合されると、合衆国政府がこの荒廃した建物の所有権を主張し、南北戦争までは陸軍の補給基地として使用されました。南北戦争中はアメリカ連合国が利用しましたが、終戦後は再び合衆国政府が所有権を取り戻し、1876年まで使用を続けました。

19世紀後半になると、建物の所有権を巡る議論が活発化しました。1883年4月23日、テキサス州はカトリック教会から正式に建物を購入し、サンアントニオ市が維持管理を行うことを条件に、市へと引き渡しました。1890年代から20世紀初頭にかけて、歴史家のレディ・アディナ・デ・サバラと、自身の財産を投じて史跡の修復に尽力した慈善家クララ・ドリスコルの二人の女性が、アラモの保存に重要な役割を果たしました。彼女たちの間には、修道院部分の扱いについて意見の対立もあり、ドリスコルは取り壊しを考えていた時期もありました。

1905年1月25日、テキサス州議会は、商業目的に使用されていた伝道所の一部を買い取る決議を採択しました。その後、アラモは現在に至るまで建物を管理し、訪問者の対応を行っている女性団体「テキサス共和国の娘たち」の保護下に置かれることになりました。建物の所有権を巡る論争は20世紀に入っても続きました。1908年には、デ・サバラが商業的な開発を防ごうと、3日間建物に立てこもるという出来事もありました。アラモの建物は、特に1936年のテキサス州百周年記念の際などに、何度か修復が行われてきました。1960年12月19日には、アメリカ合衆国の国定歴史建造物に指定されています。

そして2015年、第39回世界遺産委員会において、「サン・アントニオ・ミッションズ」の一部として世界遺産リストに登録されました。ただし、この登録は、伝道所としての建築や文化的な価値が評価されたものであり、アラモの戦いという歴史的な出来事そのものが評価対象に含まれているわけではない点には注意が必要です。

アラモは、テキサスの歴史と文化にとって非常に象徴的な場所であり、その波乱に満ちた歴史は今も多くの人々に語り継がれています。

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