アリシア・レット

アリシア・レット：女優、そして肖像画家としての生涯

アリシア・レット（Alicia Rhett, 1915年2月1日 - 2014年1月3日）は、アメリカ合衆国出身の女優であり、同時に才能ある肖像画家としても知られています。彼女は、1939年公開の映画史に残る名作『風と共に去りぬ』で、アシュレイ・ウィルクスの妹インディア・ウィルクス役を演じたことで広く知られています。

生い立ちと初期のキャリア

1915年、ジョージア州サヴァンナで生まれたアリシアは、父エドモンド・レットと母イザベル・マードックの間に生まれました。母イザベルはイギリスのリヴァプールからの移民であり、父エドモンドはサヴァンナで技師として働いていました。第一次世界大戦で父がアメリカ軍の将校として戦死した後、アリシアは母と共にサウスカロライナ州チャールストンに移り住み、そこで舞台女優としてのキャリアをスタートさせました。

『風と共に去りぬ』への出演

1936年、舞台『募兵官』に出演していた際、映画監督のジョージ・キューカーの目に留まったことがきっかけで、アリシアの人生は大きく変わります。当時、ハリウッドではデヴィッド・O・セルズニック製作の超大作『風と共に去りぬ』の主役スカーレット・オハラ役を演じる女優を探しており、全米規模でのオーディションが繰り広げられていました。

アリシアも、その候補の一人としてスカウトされ、当初はメラニー・ハミルトン役のオーディションを受けました。しかし、その役はオリヴィア・デ・ハヴィランドに決まり、その後1937年3月、キューカー監督から改めてアシュレイ・ウィルクスの妹であるインディア・ウィルクス役をオファーされたのです。

『風と共に去りぬ』は大ヒットし、アリシアも一躍有名になりましたが、彼女はその後、自分に合った役柄が見つからないことを理由に、1941年に映画界を引退。ハリウッドを離れ、故郷のサウスカロライナに戻りました。その後は、チャールストンのラジオ放送局WTMAで、俳優やアナウンサーを目指す人々にアクセント指導をする講師として働きました。

肖像画家としての才能

実は、アリシアは女優としての活動以前から、絵を描く才能にも恵まれていました。『風と共に去りぬ』の撮影中にも、共演者の姿をスケッチやドローイングに残しています。その後、彼女はチャールストン周辺の軍人たちの肖像画を制作するようになり、その才能は広く認められるようになりました。彼女の作品には、ルイス・エミール・デンフェルド提督やエステレーヌ・ウォーカー司祭の肖像画などがあります。特に後者はサウスカロライナ州立図書館に展示されています。また、後に『風と共に去りぬ』の続編『スカーレット』を執筆するアレクサンドラ・リプリーが19歳の時に彼女に肖像画を依頼しています。

特筆すべき肖像画としては、シャーロット・ブラウン・リド未亡人から依頼されたクラウディウス・マーレー・リド卿の肖像画と、ウィリアム・ハリソン・スキャーボロー作『ミラー姉妹』の修復作業が挙げられます。これらの作品は、クラウディウス・マーレー・リド・ジュニア邸に所蔵されています。さらに、彼女は挿絵画家としても活動し、1965年に出版された『サウスカロライナインディアン』など、数々の書籍にイラストを提供しました。

その後と晩年

2014年1月3日、アリシア・レットは老衰のため、サウスカロライナ州チャールストンで98歳でその生涯を閉じました。2013年の時点では、『風と共に去りぬ』に出演した俳優の中で最高齢でした。彼女の死後、メラニー役を演じたオリヴィア・デ・ハヴィランドが、同作品の存命俳優の中では最年長となりました。

フィルモグラフィー

風と共に去りぬ（1939年、インディア・ウィルクス役）

外部リンク

Alicia Rhett - IMDb（英語）
* 生涯（ニューヨークタイムズの記事）

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