アリーシュ

エル＝アリーシュ（またはアリシュ）は、エジプトのシナイ半島北東部に位置する都市で、北シナイ県の県都です。地中海に面し、イスラエルやパレスチナとの国境にも近いという地理的な特徴を持っています。この地域は歴史的に重要な場所であり、現在では国際的な人道支援活動において重要な役割を果たしています。

概要

エル＝アリーシュは、地中海沿岸に位置し、その立地から戦略的な重要性を持つ都市として知られています。特に、ガザ地区に最も近い拠点として、エル＝アリーシュ国際空港は人道支援物資の集積地および輸送拠点として活用されています。この空港は、ガザ地区への支援活動において不可欠なインフラとなっています。

さらに、エル＝アリーシュは教育機関も有しており、スエズ運河大学の一部の学部が設置されています。これにより、地域の人材育成にも貢献しており、教育と経済の両面で地域の中核を担っています。

歴史

エル＝アリーシュの歴史は古く、古代エジプト時代にプトレマイオス朝の拠点があった場所の近くに、ベドウィンたちの居住地が形成されたことが始まりとされています。中世の時代には、巡礼者たちがこの地を聖書に登場するスコットと誤認したという記録も残っています。1560年にはオスマン帝国によって新しい城壁が建設され、その後の歴史の中で、この地が戦略上の要所として度々争奪戦の舞台となりました。

1799年には、ナポレオン戦争中にフランス軍がこの地を攻略し、城砦を一時占領しました。その後、第一次世界大戦中にはイギリス軍の爆撃によって城砦が破壊されるという悲劇も経験しました。20世紀に入ると、1958年12月8日には、エジプト空軍とイスラエル空軍の間で空戦が発生するなど、中東紛争の最前線としての側面も持ち合わせていました。

特に、1956年の短期間と1967年から1979年までの間は、イスラエル軍による占領を経験しました。しかし、1979年にエジプトとイスラエルとの間で平和条約が締結されたことで、エル＝アリーシュはエジプトに返還され、現在のエジプト領となりました。

エル＝アリーシュは、その歴史的な背景と地理的な位置から、国際政治における重要な拠点であり続けています。人道支援活動、教育、そして歴史遺産といった多様な側面を持つこの都市は、これからも中東地域において重要な役割を担うでしょう。


関連項目

* エジプトの都市の一覧

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