アリー・ゴマア

アリー・ゴマア：エジプトのイスラム法学者

アリー・ゴマア（アリー・ジュムア、1952年3月3日生まれ）は、エジプトにおける著名なイスラム法学者であり、2003年から2013年までエジプトの大ムフティーとして活躍しました。彼の活動は、エジプト国内外で広く認識されており、特に穏健でリベラルな見解を持つことで知られています。

略歴

アリー・ゴマアは、1973年にアイン・シャムス大学で商学学士号を取得し、その後アズハル大学でイスラム法学の学士、修士、博士を順に取得しました。1985年からはアズハル大学で教鞭を執り、次第に準教授、教授へと昇進しました。大学での教育活動の傍ら、彼は2003年にムフティーに就任し、イスラム法に関する多くの著作を執筆しました。

著作と宗教教育への貢献

ゴマアは、2010年3月までに43冊の宗教書や7冊の辞典を出版しており、いくつかの作品は英訳され、国際的に発表されています。また、北米にあるSchool of Islam and Social Science（SISS）におけるカリキュラム設計にも関与し、海外での宗教教育に力を入れています。彼は高い英語能力を持ち、欧米の学者やジャーナリストと親しい関係を築いています。

穏健なイスラム法学者としての立場

ゴマアは、イスラムの教えに基づく穏健かつリベラルな視点を持つイスラム法学者として知られており、特にテロ行為や暴力を否定する立場を取り続けています。彼は1990年代に収監中の過激派との対話を行い、多くの人々が暴力を放棄するきっかけを提供したとされています。

メディアへの出演と外交活動

大ムフティーに就任以降、ゴマアはテレビ番組に頻繁に出演し、新聞（アル＝アハラーム紙）へのコラム執筆なども行い、メディアでの存在感を強めてきました。さらに、彼は中東及びヨーロッパ諸国を訪問し、政治的および外交的な役割も果たしています。2007年にはデンマークにおけるムハンマド風刺漫画問題に際して、冷静な対応を呼び掛けるなど、イスラム教徒への穏健なアプローチを強調しました。

ファトワーと国際的な貢献

2009年2月、ゴマアはムスリム同胞団やその他の過激な組織への参加はイスラムに反するとするファトワーを発表し、イスラム社会内での安定を意識した発言を行いました。また、2008年にはレバノンを訪れ、スンナ派とシーア派の指導者との会談を通じて国民和解に貢献したことに対する感謝の意を表明しました。

日本への訪問

2010年3月、ゴマアは日本の外務省に招待され、岡田外務大臣との面会、宗教界や一般市民との対話、講演会など多彩な活動を行う予定でした。彼の学問的及び宗教的な活動は国際的に注目されており、エジプトのみならず広くイスラム世界の発展に寄与しています。

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