アルギルダス・ブラザウスカス

アルギルダス・ミーコラス・ブラザウスカス：リトアニア独立の立役者

アルギルダス・ミーコラス・ブラザウスカス（1932年9月22日 - 2010年6月26日）は、リトアニアの政治家であり、同国の首相および大統領を務めました。彼は、ソビエト連邦からの独立回復という激動の時代に、リトアニアを導いた中心人物として知られています。

生い立ちと共産党でのキャリア

ブラザウスカスは、リトアニア北部のロキシュキスで生まれました。彼が幼少期を過ごした1940年、リトアニアはソ連に併合されました。1952年にカウナス工業大学を卒業後、ブラザウスカスはリトアニア共産党の官僚としてキャリアをスタートさせました。建設資材産業大臣（1965年）、国家計画委員会副議長（1967年）、リトアニア共産党中央委員会書記（1977年）など、党と政府の要職を歴任し、着実に地位を確立していきました。

ペレストロイカと独立運動

ミハイル・ゴルバチョフによるペレストロイカが始まると、バルト三国ではソ連からの独立を求める声が高まりました。ブラザウスカスは、リトアニア共産党内の独立派のリーダーとして、この動きを牽引しました。1988年10月にはリトアニア共産党第一書記に就任し、共産党の一党独裁と民主集中制の放棄を宣言するとともに、ソ連共産党からの分離を推し進めました。この大胆な行動は、リトアニアの独立運動を大きく加速させることになりました。

独立後の政治

リトアニアが独立を回復した後、ブラザウスカスは、リトアニア共産党から改組された民主労働党の党首に就任しました。1990年には副首相、1992年には最高会議議長を歴任し、新生リトアニアの政治体制の確立に尽力しました。1993年には、大統領制導入に伴い行われた大統領選挙に出馬し、見事当選。独立回復後の初代大統領として、国際社会におけるリトアニアの地位向上に貢献しました。

1998年に大統領を辞任した後も、ブラザウスカスの政治への関与は衰えることはありませんでした。2001年には社会民主党の党首に就任し、再び首相を務めました。しかし、2006年6月、連立政権内の内紛により首相を辞任しました。

死去

2010年6月26日、アルギルダス・ミーコラス・ブラザウスカスは、前立腺がんのためヴィリニュスで亡くなりました。彼の死は、リトアニア国内外で広く悼まれました。

ブラザウスカスは、激動の時代にリトアニアを導き、独立と民主化を成し遂げた、まさに国民的英雄と言えるでしょう。彼のリーダーシップと政治手腕は、リトアニアの歴史に深く刻まれています。

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