アルゲランダー記法

アルゲランダー記法について

アルゲランダー記法（Argelander designation）は、1862年にフリードリヒ・ヴィルヘルム・アルゲランダーによって提案され、その後発展を遂げた変光星の命名法です。この記法は、特にバイエル符号に基づいており、星座名の属格とアルファベット等の符号を組み合わせて、観測された変光星を特定します。

命名の概要

この方法は、バイエル符号でギリシャ文字が付いていない変光星を対象にしています。変光星はその発見順に命名され、以下のように符号が使用されます：

1. 1番目から9番目: R, S, T, U, V, W, X, Y, Z
2. 10番目から54番目: RR, RS, RT, RU, RV, RW, RX, RY, RZ,
……, SS, ST, SU, SV, SW, SX, SY, SZ, TT, TU, TV, TW, TX, TY, TZ, ……, ZZ
3. 55番目から334番目: AA, AB, AC, ……, AZ, BB, BC, ……, PZ, QQ, ……, QZ（Jの使用は避けられます）
4. 335番目以降: V335, V336, ……

これらの記号は、実際の星の名前として例えば「YZ Ceti」（くじら座YZ星）という形で使われます。アルゲランダーが当初提案したのは「QZ」までの記号で、後にこの範囲は拡張されました。

命名の理由

「R」から始まる理由は、バイエル符号が「Q」まで利用されていることから来ており、多くの変光星が赤色であるため、「赤」を意味するドイツ語の「rot」やフランス語の「rouge」の略称として使われることが考えられています。

バイエル符号との関係

バイエル符号がギリシャ文字を持つ変光星については、アルゲランダー記法は適用されません。一方で、ラテン文字で表記されている変光星には、重複する形でアルゲランダー記法が付けられます。例えば、りゅうこつ座のPP星は、りゅうこつ座p星としても知られています。

新星の命名

新星に関しては、アルゲランダー記法により命名されるだけでなく、他の形式も用いられます。具体的には「属格 + 西暦年 + 新星の通し番号」を用いる方法です。例えば、V5116 Sgr（いて座V5116星）は、NOVA Sgr 2005 No 2（2005年第2いて座新星）としても知られます。

銀河系外の変光星

銀河系以外の銀河における変光星は、特別な命名法が存在し、「銀河名 + V + 銀河内での通し番号」で表されます。例としては「LMC V0001」があり、これは大マゼラン雲内で最初に特定された変光星を指します。

このように、アルゲランダー記法は天文学における変光星の命名法として、星の発見順にシステマティックに整理する方法を提供しており、天体観測や研究に役立っています。

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