アルコーン

アルコーン (Archon)

アルコーン（古代ギリシア語: ἄρχων）は、「統治者」を意味する言葉であり、古代ギリシアにおいて様々な意味を持って用いられました。

古代ギリシアにおけるアルコーン

都市国家アテナイにおいては、王政廃止後、当初は終身職の官職としてアルコーンが設置されました。その後、民主化の進展とともに、その役割と人数は変遷を遂げていきました。

アルコーンの役割の変遷

初期には、

エポニュモス・アルコーン（執政官）: 最高指導者
アルコーン・バシレウス（神祇官）: 祭祀担当
ポレマルコス（兵部官）: 軍事担当

の3名が主要な役割を担っていました。紀元前8世紀中頃には、これらのアルコーンの任期は10年に定められました。

紀元前683年には、任期は1年に短縮され、さらに以下の6名が追加され、合計9名のアルコーンが選出されるようになりました。

テスモテタイ（法務官）

アルコーンの選出方法

当初、アルコーンは、アルコーン経験者で構成されるアレオパゴス会議によって、富裕貴族の中から選ばれていました。しかし、紀元前594年のソロンの改革により、財産によって分けられた4階級の上位2階級から選出されるように規定が変更されました。さらに、紀元前462年以降のペリクレスによる民主改革によって、籤引きによって選ばれるようになりました。

アレオパゴス会議の権限

アテナイの元老院であったアレオパゴス会議は、アルコーン経験者によって構成されていましたが、ペリクレスらの改革によって、その権限の多くを失いました。

グノーシス主義におけるアルコーン

ヘレニズム期のグノーシス主義においては、アルコーンは、地上を支配する偽の神々を指す言葉として用いられました。これは、古代ギリシアにおけるアルコーンの「統治者」という意味合いが転じたものと考えられます。

ビザンティン帝国におけるアルコーン

ビザンティン帝国（東ローマ帝国）においては、外国の統治者をアルコーンと呼ぶことがありました。

その他の用法

蝶・蛾の一種であるウスバアゲハ亜科には、アルコーン（Archon）という属が存在します。

関連項目

* アテナイの王族

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