アルサメス (将軍)

アルサメス: アケメネス朝のキリキア太守

アルサメス（Ἀρσάμης、ラテン文字転記：Arsames）は、アケメネス朝ペルシアのキリキア地域を治めた太守であり、その活動は紀元前334年から紀元前333年にかけての戦闘に関連しています。彼の人生とキャリアは、マケドニアの王アレクサンドロス3世との接触によって大きく変わりました。

紀元前334年、アレクサンドロス大王が小アジアに侵攻した際、アルサメスは他の将軍や小アジアの太守たちと共にグラニコス川でマケドニア軍を迎え撃ちましたが、戦闘は不成功に終わり、多くの将官が戦死する結果となりました。その中でアルサメスは逃げ延びることができました。彼はタルソスに拠点を置くものの、アレクサンドロスの脅威が迫ったため、タルソスを放棄し、焦土作戦を実施してキリキア地域を荒らしながらペルシア王ダレイオス3世の元へと撤退しました。このような決断は、戦局が彼にとって非常に厳しいものであったことを示しています。

紀元前333年には、いよいよ大規模な戦闘、イッソスの戦いが繰り広げられます。ここでもアルサメスはペルシア軍の指揮官の一人として参加しましたが、運命は再度彼に厳しいものでした。戦闘の結果、彼は戦死してしまいます。このように、アルサメスの人生はアレクサンドロス大王の侵攻によって大きな転機を迎えました。

アルサメスの時代に関しての詳細な記録は、いくつかの古代文献に残されています。アッリアノスの『アレクサンドロス大王東征記』や、クルティウス・ルフスの『アレクサンドロス大王伝』、さらに森谷公俊によるディオドロスの『歴史叢書』などが彼の活動を伝える貴重な資料です。これらの文献は、当時の戦況や政治状況を把握するために欠かせないものであり、アルサメスの歴史的重要性を示しています。

特に、彼の戦闘への参加や、その結果としての敗北、撤退の決断は、アケメネス朝の崩壊に向かう重要な過程の一部となっています。アルサメスは、ペルシア帝国の歴史において、その役割を持つ重要な人物であり、一方でアレクサンドロス大王の広がる影響力を考慮する際にも外せない存在です。彼の悲劇的な結末は、歴史上の数多くの戦士たちの運命の一部を際立たせています。

このように、アルサメスの物語は、古代の戦争や権力闘争の現場を反映した、歴史の一断面を垣間見ることができるものです。

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