アルザス地域圏

アルザス地域圏

アルザス地域圏は、フランスの北東部に位置し、バ＝ラン県とオ＝ラン県の二つの県から構成されています。2021年には両県が合併し、名称がCollectivité européenne d'Alsaceに変更される予定です。地域の中心都市はストラスブールであり、ここは県庁所在地でもあります。一方、オ＝ラン県の中心地はコルマールです。

この地域は、西側にヴォージュ山脈があり、ロレーヌ地域圏と接触し、南部ではブルゴーニュ=フランシュ＝コンテ地域圏と隣接しています。また、北側はドイツとスイスの国境に接しています。2016年からは、アルザスは新たにGrand Estという地域圏に併合されました。

概要

アルザス地域圏の面積は、日本の兵庫県に匹敵し、約8,394平方キロメートルです。人口は約189万人で、岡山県と同程度の規模です。この地域は南北に細長く広がり、北部がバ＝ラン県、南部がオ＝ラン県となっています。アルザス人（アルザス語：エルザス人）は、主にドイツ系のアレマン人の子孫であり、人口の43%がアルザス語を使用しています。歴史的には、中部フランク王国由来のアイデンティティを持ち、アルザスでは古代からライン川を利用した農業や工業が発展してきました。鉄鉱石や石炭も一定量産出されています。

歴史的には、アルザスは数度にわたり戦火に見舞われ、特に神聖ローマ帝国時代から20世紀までの間、戦争の影響を大きく受けました。アルザス人は、ドイツとは一定の距離を置きつつ、フランスとも完全には同化せずに生きてきました。この地域は地政学的な要衝として重要でしたが、中世のライン川は蛇行しており、これが環境衛生に悪影響を与え、19世紀まで風土病の発生源でした。

第二次世界大戦後、アルザスはフランスの領土として再編成されました。しかし、ドイツ系企業が多数進出し、フランスの同化政策が強化されました。その結果、住民はフランス語とアルザス語のバイリンガルが多くなりましたが、主に若年層はフランス語を優先する傾向があります。また、フランス政府は同化政策を再評価し、今後の教育方針については議論が続いています。

経済と文化

ストラスブール市は、欧州連合の中心地としても知られており、政治的な活動が盛んな場所です。しかし、地域の歴史に関する著作は限られており、特にアルザスの公的な記録は、欧州統合の妨げにならないように配慮されています。また、フランスやドイツの歴史家による記録も、特定の視点から描写されるため、地域史を知る上での障壁となっています。

2002年の時点でのアルザス地域のGDPは約443億ユーロとされ、1人当たりGDPも24,804ユーロに達しました。この数字は、フランスの22地域圏の中でも、イル・ド・フランスに次いで高い水準です。特に、地元の労働人口の68%はサービス業に従事し、25%が工業に関連する仕事をしています。

文化的特色

アルザスはフランス文化とドイツ文化が融合した特徴的な地域です。食文化ではシュークルートやベッコフが名物であり、地元で生産される白ワインも有名です。ビールに関しても、高品質のものが多く生産されています。また、宗教の面では、カトリック教徒が多いフランス全体と比べ、アルザスではプロテスタント信者の存在感も強いです。そのため、地域には両派の教会が多く点在しています。

全体として、アルザス地域圏は、歴史的にも文化的にも多様な側面を持ち合わせた地域であり、フランスとドイツの歴史が交錯する独特な場所と言えるでしょう。

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