アルシャード

アルシャード：テーブルトークRPGシリーズの魅力

『アルシャード』は、エンターブレイン（現KADOKAWA）から出版されている日本のテーブルトークRPG (TRPG)のタイトル、およびそのシリーズです。著者は井上純弌、F.E.A.R.。一部タイトルには菊池たけしもクレジットされています。本稿では、アルシャードシリーズ全体の内容と、特にアルシャードファーストエディションとして知られる『アルシャード』『アルシャードff』『アルシャード・ガイアRPG』の3タイトルに焦点を当てて解説します。

概要

2002年7月に「新世紀スタンダードTRPG」として登場した本作は、異世界ファンタジーRPGとして注目を集めました。2005年7月には改訂版『アルシャードff（フォルティッシモ）』が、2006年8月には『アルシャードff』とほぼ同じシステムを採用した現代ファンタジーRPG『アルシャードガイアRPG』が発売され、シリーズは拡大を続けました。

このゲームは、「現代の日本人ゲーマーのためのスタンダードなテーブルトークRPGを創る」という明確な意図のもとで開発され、スタンダードRPGシステムの中心的な役割を担っています。

ゲームのテーマは、神話に登場する神々の力を受け継いだ英雄「クエスター」と、宇宙を蝕む負の勢力「奈落」との壮絶な戦いです。舞台となる世界は、『アルシャード』及び『アルシャードff』ではテクノロジーが発達したファンタジー世界ミッドガルド、『アルシャードガイアRPG』では現代の地球が採用されています。さらに、スタンダードRPGシステムの他のゲームとのデータコンバートも可能で、『アルシャード』の世界観を他のゲームで楽しんだり、逆に他のゲームのキャラクターを『アルシャード』の世界で活躍させたりすることもできます。

デザイナーの井上純弌は、日本のテーブルトークRPGが『ダンジョンズ&ドラゴンズ』（D&D）と『ソードワールドRPG』（SW）の成功以降、ニッチな需要に特化する傾向が強まり、新たなスタンダードを創造する意欲的な作品が減少している状況に危機感を抱いていました。そこで、「21世紀の日本市場に合った新しいスタンダードスタイルのRPG」を自ら創り出すことを決意したのです。

開発には、井上の学生時代からの友人である遠藤卓司と久保田悠羅がそれぞれシステムデザインと世界観設計を担当。菊池たけしが2D6判定システムのアドバイザーとして参加し、当時F.E.A.R.のサポート誌『ゲーマーズ・フィールド』に漫画を連載していた金澤尚子らビギナープレイヤーがディベロッパーやテストプレイヤーとして参加するなど、当時のF.E.A.R.が擁する第一線クリエイターが多数参加しました。プロデューサーの鈴吹太郎は、リプレイ集『悠久の地平』のあとがきで「『アルシャード』ほど大量のテストプレイ、紙面の再構成を繰り返した作品は他にない」と開発の苦労を語っています。

2011年8月のJGC2011では、2012年中のバージョンアップが発表され、2012年4月発売の『ゲーマーズ・フィールド』16Season Vol.4及びリプレイ『創世! 真ラグナロク!!』にて、同年7月に『アルシャードセイヴァーRPG』としてリリースされることが予告されました。また同年4月には、『アルシャードガイアRPG』基本ルールブックと『アルシャードFF』サプリメント『アインヘリアル』がiPhone、iPad、Android OS対応の電子書籍として角川コンテンツゲート（Book☆Walker）から発売されました。

各シリーズの特徴

アルシャード（ルール第一版）: 北欧神話をベースにしたファンタジー世界「ミッドガルド」を舞台に、テクノロジーと魔法が融合した独特の世界観が特徴です。プレイヤーは「クエスター」として、世界の敵である奈落や真帝国と戦い、理想郷「アスガルド」を目指します。
アルシャードff: 『アルシャード』の改訂新版であり、ゲームバランスの調整やデータ整理が行われました。より洗練されたシステムで、初代の魅力をさらに引き出しています。
アルシャードガイアRPG: 現代の地球「ブルースフィア」を舞台にしたシリーズ。プレイヤーは現代社会に潜む奈落と戦い、日常の平和を守るクエスターとして活躍します。
アルシャードトライデント: 『アルシャードff』と『ガイア』のクロスオーバー企画。高レベルキャラクター向けの新たな冒険の舞台を提供し、「大ラグナロク」という宇宙規模の危機に立ち向かいます。
* アルシャードセイヴァーRPG: シリーズにおける正式なルール第二版。ゲームバランスが根本的に見直され、より戦略的なプレイが楽しめます。

『アルシャード』シリーズは、多様な世界観と奥深いゲームシステムで、プレイヤーに無限の冒険の可能性を提供し続けています。

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