アルジェリア内戦

アルジェリア内戦：暗黒の10年とその後

1991年から2002年にかけてアルジェリアで勃発した内戦は、アルジェリア政府軍と複数のイスラム主義反政府勢力との間で繰り広げられた悲惨な武力紛争でした。この内戦は、フランス語で「暗黒の10年(La décennie noire)」、「テロルの10年(La décennie du terrorisme)」、「残り火の時代(L'années de braise)」などと呼ばれ、アルジェリア国民に深い傷跡を残しました。

内戦の勃発：選挙中止とクーデター

1990年代初頭、イスラム救国戦線(FIS)というイスラム主義政党がアルジェリア国民の間で大きな支持を集めました。しかし、FISの勝利を危惧した政府与党・アルジェリア民族解放戦線(FLN)は、予備選直後に選挙を中止するという強硬策に出ました。この決定はアルジェリア軍によるクーデターを招き、シャドリ・ベンジェディド大統領は失脚、FISは追放され、多くのメンバーが逮捕されました。

このクーデターをきっかけに、[イスラム主義]]ゲリラ兵による政府への武装闘争が開始されました。反政府勢力は、山岳地帯を拠点とするイスラム武装運動(MIA)と都市部を拠点とする[[武装イスラム集団]という主要な二つの勢力に分裂し、政府軍やその支援者だけでなく、一般市民への攻撃もエスカレートしていきました。

複雑な勢力図と激化する戦闘

MIAやGIAに加え、様々な小規模なイスラム主義武装勢力が登場し、勢力争いや内紛も発生しました。1994年には政府とFISの投獄された指導部との間で交渉が行われましたが、決裂に終わり、GIAはFISとその後継組織であるイスラム救国軍(AIS)に宣戦布告しました。

1995年の大統領選挙では、軍出身のリアミヌ・ゼルアルが当選。ゼルアル政権はFISとの交渉を試みる一方で、「撲滅派」と呼ばれる強硬派も存在し、複雑な政治状況が内戦の長期化に繋がりました。GIAは特に、一般市民を対象とした残虐な虐殺を繰り返しました。これらの虐殺には、政府の関与を示唆する証拠もありました。

平和への道：停戦と恩赦

1997年、AISは一方的に政府との停戦に応じました。GIAは様々な掃討作戦によって勢力を弱められ、分裂していきました。1999年、アブデルアジズ・ブーテフリカ新大統領は、反政府勢力の大部分に恩赦を与える法律を制定。これにより、多くの反政府兵士が通常の生活に戻り、暴力は減少していきました。しかし、GIAの残党は「説教と戦闘のためのサラフィー主義者集団」(GSPC)として活動を続け、後にアルカイダと連携し、テロ活動を継続しました。

内戦の影響とその後

アルジェリア内戦の犠牲者数は、4万4000人から20万人と推定されており、正確な数は未だに不明です。70人以上のジャーナリストが暗殺され、経済にも大きな打撃を受けました。内戦終結後も、GSPC（のちにアルカイダ・マグレブ支部）によるテロ活動が続いたため、アルジェリア政府はテロ対策に力を注ぎました。

アルジェリア内戦は、政治的、社会的、経済的にアルジェリアに大きな傷跡を残しました。選挙の放棄、クーデター、ゲリラ戦、政府とイスラム主義勢力の複雑な関係、そして一般市民への無差別な暴力など、この内戦は現代史において重要な教訓を残す出来事と言えるでしょう。 この内戦の複雑な背景や経緯、様々な勢力の関与、そしてその後の和平への道のりなどを理解することは、紛争解決や平和構築を考える上で重要です。 また、内戦の犠牲者やその家族への支援、そしてアルジェリアの未来のための努力は今もなお続けられています。

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