アブデルアジズ・ブーテフリカ

アブデルアズィーズ・ブーテフリカ：アルジェリアを率いた政治家

アブデルアズィーズ・ブーテフリカ（1937年3月2日 - 2021年9月17日）は、アルジェリアの政治家であり、1999年から2019年までの20年間、同国の大統領を務めました。彼の政治 करियरは、アルジェリアの独立と密接に結びついており、国内外で重要な役割を果たしました。

生い立ちと初期のキャリア

ブーテフリカは、現在のモロッコであるウジダで生まれました。1956年、リセ卒業と同時に、対仏解放闘争に参加し、民族解放軍（ALN）の一員となりました。アルジェリアが独立を果たした1962年には、ベン・ベラ政権下で25歳という若さで青年・スポーツ・観光相に就任しました。翌年には、26歳で外相に就任し、「世界最年少の外相」として注目を集めました。

しかし、その後外相を解任され、1965年にブーテフリカと親しかったフワーリー・ブーメディエンがクーデターを起こして政権を握りました。このクーデターは、ブーテフリカの解任に対する反発がきっかけだったとも言われています。クーデター後、ブーメディエン政権下で外相に復帰し、通算16年間務め、「アルジェリア外交の顔」として活躍しました。1974年には、37歳で国連総会の議長も務め、南アフリカの国連からの追放とPLOの国連オブザーバー参加を実現しました。

大統領として

1999年、ブーテフリカは大統領選挙に出馬し、73.8％の得票率で当選しました。これは、34年ぶりの文民大統領の誕生でした。2004年の大統領選挙でも再選され、社会の安定、テロとの戦い、市場経済への移行を掲げました。大統領として、司法、教育、行政の改革を推進し、社会の安定と経済改革を目指しました。また、積極的な外交を展開し、G8などの先進国との関係改善に努めました。

しかし、長期政権を目指す中で、2008年には憲法改正を行い、大統領の任期を3期としました。この改正は、野党からの強い反発を招きました。2009年の大統領選挙では、90.24％の得票率で再選を果たしましたが、選挙戦では不正行為やメディアの偏向報道が指摘されました。また、アラブの春の影響を受け、アルジェリアでも騒乱が発生し、ブーテフリカに対する批判が高まりました。

2013年には脳梗塞を患い、車椅子生活を余儀なくされました。2019年、5選を目指して大統領選挙に出馬する意向を示しましたが、国内で反対デモが相次いだため、出馬を断念し、大統領選挙の延期を発表しました。その後、軍部の圧力により辞任しました。

死去とその後

2021年9月17日、ブーテフリカはアルジェ郊外の自宅で心不全のため死去しました。84歳でした。彼の死後、後継の大統領代行であったアブデルカデル・ベンサラーも間もなく亡くなりました。

人物像

ブーテフリカは、読書、サッカー、音楽を趣味としていました。アラビア語とフランス語に堪能で、特にフランス語はフランスの最高レベルの知識人にも匹敵すると評されました。18歳でALNに参加し、高等教育を受ける機会はありませんでしたが、深い教養を持っていました。

アブデルアズィーズ・ブーテフリカは、アルジェリアの歴史において重要な役割を果たした人物であり、その功績と批判は、今後も議論され続けるでしょう。

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