アルスター義勇軍

アルスター義勇軍（UVF）

アルスター義勇軍（Ulster Volunteer Force、略称: UVF）は、北アイルランドにおいて活動するプロテスタント系住民、すなわちユニオニストによって構成されています。この組織は、北アイルランド紛争の中でカトリック系のリパブリカン組織、特にIRA（アイルランド共和軍）と対立を繰り返してきました。

組織の誕生

この組織の名称が初めて使用されたのは、イギリスの統治下にあったアイルランドにさかのぼります。1913年、カトリック系住民の独立への意識が高まり、自立を求める自治法案が進められました。この動きに対抗する形で、アルスター統一党が創設され、17歳から65歳までの年齢層を持つ約10万人の義勇軍が結成されました。この結果、カトリック系側もアイルランド義勇軍を結成し、その後のイースター蜂起へと続く対立が生まれました。

北アイルランドでの闘争

アイルランド独立戦争によってアイルランドが独立を果たすと、プロテスタント人口の多い北アイルランドはイギリスの支配の下に留まりました。このため、カトリック系市民による解放運動は激化し、ユニオニストの間ではカトリックへの反発感情が高まりました。1966年にUVFは、かつての右派武装勢力の名を引き継ぎ、テロ活動を再開しました。彼らはリパブリカン側の民間人を含む広範な標的に対して、小火器や爆発物を使用して攻撃を行いました。

また、北アイルランドの最大のユニオニスト勢力であるアルスター防衛同盟（UDA）との間でも、2000年代には深刻な抗争事件が発生し、七人が命を落としました。

組織の規模

UVFは「旅団参謀」と呼ばれる指導部の下、複数の小規模組織として活動しています。初期には約20人と極めて小さな組織でしたが、1972年には闘争が激化し、約1000人から1500人の構成員を抱えるに至りました。彼らはイギリス本土のみならず、カナダ、イスラエル、南アフリカなどから武器を調達しており、1980年代にはチェコスロバキア製の自動小銃や拳銃、手榴弾、ロケットランチャーなど様々な武器を手に入れることができました。

犠牲者と影響

UVFの活動によって犠牲になったのは主に非武装の市民であり、その数は414人に達しました。その中には、11人の政治家が含まれています。また、リパブリカン活動家を21人、他のユニオニスト活動家を44人、さらに6人の英国治安部隊を殺害している一方で、66人のUVF構成員も紛争によって命を落としています。

現在の状況

UVFは2007年に武装解除し、以後は活動を休止していますが、現在でもユニオニスト系市民たちに一定の影響力を持っていると考えられています。2012年には、ベルファスト市議会が英国旗掲揚の制限を決定した際に、これに反対するユニオニストの抗議デモが暴動に発展し、その際にUVFとUDAの幹部が関与していることが報告されています。

この組織の影響が今でも北アイルランドの社会に色濃く残っていることは、地域の和平プロセスにとって課題となっています。

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