アルスター防衛同盟

アルスター防衛同盟とは

アルスター防衛同盟（Ulster Defence Association、UDA）は、1971年に設立された北アイルランドのユニオニスト系の右派組織です。この団体は、北アイルランド問題の文脈において、アルスター自由戦士団（the Ulster Freedom Fighters、UFF）やアルスター防衛軍（the Ulster Defence Force、UDF）といった武装勢力の上部組織となり、主にアイルランド共和軍（IRA）の暫定派などリパブリカン勢力に対する攻撃を行ってきました。

テロ活動

1970年代の設立以来、UDAはリパブリカン勢力と敵対し、激しいテロ活動に乗り出しました。カトリック教徒をターゲットにした放火、略奪、誘拐、さらには殺害など、一般市民を巻き込む残虐な行為が行われました。これに対抗してIRAからの反撃もあり、双方の間で爆弾テロや襲撃が繰り返されたことで、抗争状態が続くこととなります。

特に注目すべき事件は、1988年のミルタウン墓地襲撃事件です。これは、IRAの戦闘員三人の葬儀に集まった人々をUDAの下部組織UFFが襲撃するというもので、実行犯はUFFのメンバー、マイケル・ストーンでした。彼は無差別に人々を攻撃し、3人を殺害、60人を負傷させました。ストーンは、その後2006年に再び北アイルランド議会を襲撃し、2008年には合計13の容疑で16年の実刑判決を受けました。UDAはその後もIRAとの抗争を続けており、内外での政治的な混乱が起こっていました。

組織の構成と関係

1972年には、UDAは最大規模を誇り、約40000人の構成員が存在しました。その中で武力抵抗に参加したのは約1000人でした。1989年には内務省の弁護士を暗殺した事件が発覚し、敵対していたはずのイギリス政府とのつながりが明らかになりました。また、UDAは1992年まで政府から非合法と見なされることはありませんでした。

加えて、UDAは麻薬の取引や恐喝といった犯罪活動にも関与しており、これらの行為は同じくユニオニスト系のUVFやIRAでも行われていたと言われています。敵対関係になったUVFとは武器を共有し、Vz 58自動小銃を含む武器を用いていました。

犠牲者と被害

UVFと同様に、UDAの活動のもとで、多くの一般市民が犠牲になりました。総計で209人（そのうち12人は政治関連）が殺害され、描かれる数字の背景には、彼らが殺害したIRAのメンバーはわずか11人、他のユニオニスト系活動家や治安機関職員も含めて死亡者数は数十人に及びました。特に921人のUDA構成員が北アイルランドの抗争により命を落としたとされています。

現在の状況

2010年には武装解除が行われ、活動が一時休止されたものの、未だにユニオニスト系の市民に一定の影響力を持つとされています。2012年12月、ベルファスト市議会が英国旗掲揚の制限を決議した際には、ユニオニスト系市民による抗議が暴動に発展し、UVFやUDAの幹部が関与したと見られています。

このように、アルスター防衛同盟は北アイルランドの歴史において重要な役割を果たしてきた組織であり、その活動の影響は現在も続いていると考えられます。

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