アイルランド共和軍

アイルランド共和軍 (IRA) について

アイルランド共和軍（IRA）は、独立および統一を目指すアイルランドの武装組織であり、その活動には長い歴史と複雑な背景があります。この組織はアイルランドの自由国成立後、特に北アイルランドの問題に関連して活動を強化しました。IRAは、一般的にはIRA暫定派を指す場合が多く、さまざまな派閥が存在しています。

歴史的背景

IRAの設立背景には、17世紀のイギリスによるアイルランド侵攻があり、以降も続くカトリック弾圧の歴史があります。19世紀中頃に起こったジャガイモ飢饉や、アイルランドの独立を求める反英ナショナリズムの高まりが、IRAの活動へと繋がる要因となりました。この時期、アメリカに移住したアイルランド系の人々がナショナリズムを盛り上げる動きも観察されました。

IRAの創設と初期の活動

IRAのルーツは、1858年に創設されたアイルランド共和同盟（IRB）や、1913年に設立されたアイルランド義勇軍に遡ります。1916年のイースター蜂起においてIRAは重要な役割を果たしましたが、連合王国の一部に留まった北部6県に対抗する形で、アイルランド全土の統一を目指して活動を続けます。

1921年の英愛条約によってアイルランドは自由国として成立しますが、北アイルランドは連合王国に留まります。この条約に対するIRA内での賛否が分かれ、内戦へと発展しました。この内戦を経て、IRAは衰退しますが、第二次世界大戦中は活動を継続し、ナチスドイツと接触を持つこともありました。

暫定派の創設と北アイルランド紛争

1969年以降、IRAは新たな局面を迎え、活動を再開します。公民権を求める運動の高まりや、ユニオニストによる攻撃に対抗するため、IRAはより武装闘争へと重点を置くようになりました。この時期、側面での支持がありましたが、活動は内部での分裂を引き起こします。最終的に、武装闘争を続ける「IRA暫定派」と、政治的手法を重視する派とに分かれました。

IRA暫定派は1970年から1990年代にかけて、北アイルランド紛争の中で重要な役割を果たします。彼らはロンドンでのテロ事件などを含むさまざまな攻撃を行い、イギリス政府に対して強硬な姿勢を取りました。「血の日曜日事件」などの事件を通じてさらなる支持を得る一方で、一般市民からの非難も受けることとなりました。

和平への道

1990年代に入り、イギリス及びアイルランド政府との和平の兆しが見え始めます。1998年に成立したベルファスト合意は大きな進展をもたらし、その後IRA暫定派は武装解除に応じ、武装闘争の終了を宣言しました。しかし、分派したCIRAやRIRAなどは引き続き活動を行い、時にはテロ事件を引き起こすこともありました。

現在の状況と展望

現在、IRA暫定派の武装活動は収束していますが、CIRAやRIRAといった反対派の活動が完全に終息しているわけではなく、北アイルランドにおける不安定な状況は続いています。また、ブレグジットによる影響で、北アイルランドとの国境に変化が生じる可能性があることから、過激派の動きが再び活発化する懸念も指摘されています。

結論

アイルランド共和軍は、その歴史を通じてアイルランドの政治・社会に多大な影響を及ぼしてきました。現在もなお、IRAに関連するさまざまな問題が存在し、和平がなかなか定着しないもどかしさがあります。今後の動向が注目される中、IRAの活動とその影響を理解することは、アイルランドの歴史と未来を考える上で重要です。

もう一度検索