アルタ・ヴァル・ティドーネ

イタリア共和国の北部、エミリア＝ロマーニャ州の西端近くに位置するピアチェンツァ県に、アルタ・ヴァル・ティドーネという名の基礎自治体（コムーネ）があります。この自治体は、その名の通りティドーネ川が流れる谷筋、ヴァル・ティドーネ地域の上流部に広がっています。2024年現在、およそ2,900人ほどの住民が暮らす、比較的小規模なコミュニティです。

アルタ・ヴァル・ティドーネは、歴史的には非常に新しい自治体です。2018年1月1日、それまで独立したコムーネであったカミナータ、ニッビアーノ、そしてペコラーラの三つの自治体が合併して、新たに誕生しました。この合併は、地域の行政効率化や一体的な発展を目指して行われたものです。自治体の役所は、合併前の中心地の一つであったニッビアーノに置かれています。

地理的に見ると、アルタ・ヴァル・ティドーネはピアチェンツァ県の中でもロンバルディア州との境界に近い場所に位置しています。そのため、隣接する自治体には同じピアチェンツァ県内のコムーネだけでなく、ロンバルディア州パヴィーア県に属する自治体も数多く含まれています。具体的には、ピアチェンツァ県側の隣接自治体としてボッビオ、ボルゴノーヴォ・ヴァル・ティドーネ、ピアネッロ・ヴァル・ティドーネ、ピオッツァーノ、トラーヴォ、ツィアーノ・ピアチェンティーノが挙げられます。一方、パヴィーア県（PV）に属する隣接自治体としては、カネヴィーノ、ゴルフェレンツォ、ロマニェーゼ、ルイーノ、サンタ・マリーア・デッラ・ヴェルサ、ヴォルパーラ、ザヴァッタレッロといったコムーネと境を接しています。このように、県境を越えた広がりを持つ地域と関係を結んでいることが特徴です。

自治体の内部構成としては、合併前の旧自治体が現在の主要な分離集落（フラツィオーネ）となっています。前述の通り、役場が置かれているニッビアーノの他に、カミナータやペコラーラもアルタ・ヴァル・ティドーネを構成する重要な地域です。これらの集落は、それぞれが独自の歴史や地域性を持ちながら、一つの自治体として運営されています。

自然環境という観点から見ると、イタリア国内の地震リスク評価において、アルタ・ヴァル・ティドーネは「zona 3 (sismicità bassa)」に分類されています。これは「地震発生リスクが低い地域」を意味しており、国内の他の地域と比較して地震活動の可能性が相対的に低いとされています。この分類は、建築基準などの地域開発計画において考慮される重要な要素となります。

このように、アルタ・ヴァル・ティドーネは、近年成立した新しい自治体でありながら、ティドーネ谷の豊かな自然と歴史を持つ集落が集まって形成されています。ロンバルディア州との境界に位置する地理的な特性や、比較的地震リスクの低い環境も、この自治体の特徴と言えるでしょう。地域の発展は、三つの旧自治体の文化や伝統を継承しつつ、新たな一体性を築いていく過程にあります。

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