トラーヴォ

トラーヴォ (Travo)

トラーヴォは、イタリア共和国北部、エミリア＝ロマーニャ州ピアチェンツァ県に属する基礎自治体（コムーネ）です。豊かな自然に囲まれたトレッビア川の左岸に位置しており、対岸へ渡るための二つの橋が架かっています。コムーネとしての人口は約2,200人です。

地理的には、アルタ・ヴァル・ティドーネ、ベットラ、ボッビオ、コーリ、ガッツォーラ、ピオッツァーノ、リヴェルガーロ、ヴィゴルツォーネといった複数のコムーネと境界を接しています。気候区分においてはイタリア国内で「Zona E」に分類され、年間の積算温度を示す度日は2673 GGとされています。また、地震リスクに関しては、イタリアの地震リスク階級において比較的活動度が低いとされる「Zona 3 (sismicità bassa)」に区分されています。

行政区分としては、中心部以外にもいくつかの分離集落（フラツィオーネ）を管轄下に含んでいます。これには、ボッビアーノ、カヴェルツァーゴ、チェルヌスカ、デナヴォロ、ドンチェート、ドゥエ・バンディエーレ、フェッリーノ、フィオラーノ、マルケージ、モンタルベーロ、ピガッツァーノ、ピッローリ、クァドレッリ、スクリヴェッラーノ、スタット、ヴィゼラーノなどが含まれます。

この地域の歴史は非常に古く、特に域内の一つの集落からは新石器時代の遺跡が発見されています。これらの遺跡はエミリア＝ロマーニャ州の財団によって適切に管理されており、発掘された貴重な遺物の数々はトラーヴォ市民博物館に収蔵され、一般に公開されています。

記録に残る歴史において、この地が最初に文献に登場するのは、古代ローマ時代に「トリビア」という名の植民地として建設された頃とされています。その後、西暦614年からは、近隣に位置する重要な宗教拠点であったボッビオの聖コロンバーノ修道院の所領となりました。

8世紀に入り、北イタリアを支配していたランゴバルド王国がフランク王国のカール大帝によって774年に滅ぼされると、トラーヴォを含む地域はフランク王国、そしてその後の中部フランク王国を経て、やがて神聖ローマ帝国の勢力下に入ります。神聖ローマ帝国の時代には、交易路や戦略的な要衝を守るため、マラスピーナ城をはじめとする多くの砦が築かれました。しかし、12世紀に神聖ローマ帝国の皇帝ホーエンシュタウフェン朝と、北イタリアの都市同盟であるロンバルディア同盟との間に激しい抗争が勃発し、その戦火の中でこれらの砦のほとんどが破壊されるという悲劇に見舞われました。

14世紀初頭の1302年には、ピアチェンツァを中心に勢力を広げていたヴィスコンティ家の支配下に置かれます。その後、時代は下り、1805年にナポレオンによってイタリア王国が樹立された際に、トラーヴォは新国家の行政単位であるコムーネの一つとして位置づけられました。

現在もトラーヴォには歴史的建造物が残されており、その代表格がアングイッソラ城です。この城は比較的近年、1978年に当時の城主であったサリーナ伯爵夫人マリア氏からコムーネに寄贈されました。城の一部であるかつての住居部分は改修され、1997年からはトラーヴォ市民博物館として一般に開放されています。市民博物館では、地域の歴史や文化に関連する展示が行われており、新石器時代の発掘品なども含め、トラーヴォの歩みを学ぶことができます。

人口は歴史的に変動を経験しており、現代においては約2,200人の人々がこの地で暮らしています。豊かな自然と古い歴史が息づくトラーヴォは、トレッビア渓谷における魅力的な場所の一つです。

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