アルツァフの大統領

アルツァフ共和国大統領について

アルツァフ共和国（ナゴルノ・カラバフ共和国）の大統領は、国家元首であり、政府の長として、国の最高責任者です。この役職は、1994年に新憲法が施行された際に設置され、それ以前は最高会議議長が元首としての機能を担っていました。大統領は、アルツァフの政治体制において中心的な役割を果たし、国内および国際的な問題に対処する上で重要な権限を持っています。

歴史的背景

1992年の独立当初、アルツァフでは最高会議議長が国家元首の役割を果たしていました。しかし、1994年に新憲法が施行されると、大統領職が新たに設けられ、憲法第87条で元首として規定されました。当初は半大統領制が採用されていましたが、2017年2月の憲法改正により大統領制に移行し、首相職は廃止されました。この改正により、大統領選挙は議会総選挙と同時に行われるようになりました。

第3代大統領のバコ・サハキャンは、2期目の任期満了が2017年7月19日でしたが、新憲法の規定により、次期大統領選挙は2020年の総選挙まで延期されました。そのため、2017年7月19日には議会で過渡期の大統領が選出されることとなり、サハキャンが再選されました。2023年の大統領選挙では、サンベル・シャフラマニャンが大統領に選出されましたが、国際的にはこの選挙は非難されています。

大統領の権限

大統領の権限は、憲法第93条および第94条に規定されています。アルツァフは大統領制の共和国として、大統領に行政権が集中しており、以下の広範な権限が付与されています。

行政権の掌握: 大統領は行政府を支配し、国内外の政策を決定、実行します。
対外代表権: 外交において国を代表し、国際条約の締結、批准を行います。
閣僚の任命: 国務大臣や大臣を任命し、政府の組織を管理します。
軍の最高司令官: アルツァフ国防軍の最高司令官として、軍隊の指揮、人事を行います。
国家の内外政策の管理: 国内外の政策を決定し、実施します。
国家行政制度の管理: 政府機関の構造と運営規則を定め、管理します。
国有財産の管理: 国有財産と財政を管理します。
国家機関への任命: 法律で定められた場合に、州の地位に人員を任命します。
諮問機関の形成: 必要に応じて諮問機関を設置します。
国際関係の代表: 外国や国際機関との関係を構築し、条約を締結します。
外交使節の任命: 外国および国際機関に外交代表を任命し、召還します。
緊急事態への対応: 天災やその他の非常事態が発生した場合、必要な措置を講じ、緊急事態を宣言します。
勲章の授与: アルツァフ共和国の勲章、記章、称号を授与します。
恩赦の決定: 法律で定められた手続きに基づき、受刑者に恩赦を与えます。
市民権の決定: アルツァフ共和国の市民権の付与および終了を決定します。
法令の採択: 法令や大統領命令などの法的行為を採択します。
* その他: 法律に定められたさまざまな権限を行使します。

大統領の選出

大統領は、国民の直接選挙によって選出されます。被選挙権を得るためには、35歳以上で、過去10年以上アルツァフに永住している国民である必要があります。大統領の任期は5年で、3選は禁止されています。

大統領一覧

大統領の一覧については、別途資料をご参照ください。

まとめ

アルツァフ共和国の大統領は、国の最高責任者として、広範な権限を有しています。その役割は、国家の運営、対外関係、そして軍事における最高指揮官として多岐にわたります。大統領の選出と権限は、アルツァフの政治体制において中心的な要素であり、国の発展と安定に大きく貢献しています。

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