アルテ・ピナコテーク

アルテ・ピナコテーク：ヨーロッパ絵画の宝庫

ドイツのバイエルン州ミュンヘンに位置するアルテ・ピナコテークは、世界でも屈指の古さを誇る国立美術館です。その歴史は、バイエルン地方を12世紀から治めてきたヴィッテルスバッハ家の美術コレクションにまで遡ります。

16世紀前半、ヴィルヘルム4世大公は、アルトドルファーら著名な画家たちに王宮（レジデンツ）のための歴史画の制作を依頼しました。この時代から始まったコレクションは、代々の君主による収集によって、ヨーロッパでも有数の規模にまで成長しました。

19世紀には、ルートヴィヒ1世がイタリア絵画など多くの名品を収集し、それらを収蔵・展示するための新たな美術館の建設を計画。建築家レオ・フォン・クレンツェの設計により、1826年に着工、1836年にアルテ・ピナコテーク（旧絵画館）が開館しました。後に「新絵画館」であるノイエ・ピナコテークが開館したことに伴い、「アルテ」（古い）という名称が付けられました。第二次世界大戦で被害を受けましたが、戦後復興を経て1957年に再開館しています。

圧倒的なコレクション

アルテ・ピナコテークは、ノイエ・ピナコテーク、ピナコテーク・デア・モデルネと並び、ドイツ国立バイエルンコレクションを構成する重要な美術館の一つです。中世からバロック期までの作品を中心に、質の高い絵画コレクションを誇ります。

主な収蔵作品と画家

そのコレクションは実に多岐に渡り、ドイツ絵画では、デューラーの『自画像』や『四人の使徒』、アルトドルファーの『アレクサンドロス大王の戦い』、ホルバインの『聖セバスティアヌスの祭壇画』などが有名です。一方、ネーデルラントやフランドルの絵画も充実しており、ボス『最後の審判』、ルーベンスの多様な作品、レンブラントの『自画像』など、巨匠たちの傑作が数多く展示されています。

イタリア絵画も重要なコレクションの一つで、ジョット、フラ・アンジェリコ、ボッティチェッリ、ラファエロ、ティツィアーノ、ダ・ヴィンチなどの作品が所蔵されています。フランス絵画では、プッサン、ブーシェ、シャルダンといった画家たちの作品を見ることができ、スペイン絵画ではエル・グレコ、ベラスケス、ムリーリョらの作品も鑑賞できます。

各国の絵画を網羅するアルテ・ピナコテークのコレクションは、絵画史をたどる上で絶好の機会を提供します。14世紀から18世紀にかけてのヨーロッパ絵画を、一堂に会して鑑賞できる、世界的に稀有な美術館なのです。

美術館の建築

アルテ・ピナコテークの建物自体も、その歴史と価値を物語る重要な要素です。レオ・フォン・クレンツェによるネオクラシシズム様式の建物は、洗練された美しさと荘厳さを兼ね備えています。内部空間も、絵画の展示に最適な環境が整えられており、来館者は、作品をじっくりと鑑賞することができます。

まとめ

アルテ・ピナコテークは、単なる美術館という枠を超え、ヨーロッパ絵画の歴史と文化を肌で感じることのできる貴重な場所です。ミュンヘンを訪れた際には、ぜひ足を運んで、その圧倒的なコレクションと美しい建物に浸ってみてください。

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